| Project/Area Number |
24K01500
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
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| Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
酒井 健 九州大学, 理学研究院, 教授 (30235105)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥18,460,000 (Direct Cost: ¥14,200,000、Indirect Cost: ¥4,260,000)
Fiscal Year 2026: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2025: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
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| Keywords | 錯体触媒 / 水素生成 / 人工光合成 / 配位高分子 / 二酸化炭素還元 / 光エネルギー変換 |
| Outline of Research at the Start |
研究代表者が開拓してきた水分解触媒及び炭酸ガス還元触媒に関する研究成果を基盤とし、太陽光エネルギーを再生可能エネルギー(H2, CO, HCOOH, MeOH, etc.)へと変換する機能性配位高分子複合体の開発を行う。各種の光増感錯体と錯体触媒を含む複合体内で水の光酸化触媒反応と燃料生成が連動して促進できる光燃料生成デバイスの開発を目指す。
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| Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、長波長領域の可視光を用いて水からの水素生成触媒反応を駆動する新規分子性光触媒の開発を志向し、二座及び三座配位部位を有するbpia配位子を用いた新規白金二核錯体Pt2(bpia)Cl3の合成、および触媒機能の評価を行った。 水溶液中におけるPt2(bpia)Cl3の吸収スペクトルを測定したところ、従来の白金単核錯体には見られなかった500 nm以上のブロードな長波長吸収帯が観測された。TDDFT計算、および種々の分光測定を行った結果、この長波長吸収はS-T遷移に由来することが明らかとなった。一般に、ほとんどの白金単核錯体においてはスピン禁制であるS-T遷移は観測されないが、Pt2(bpia)Cl3では2つの白金イオンが近接していることによってスピン軌道相互作用が増大し、その結果S-T遷移吸収帯の強度が増大したと考えられる。 次に、犠牲還元試薬EDTA、及びPt2(bpia)Cl3を含むpH 5の酢酸緩衝溶液に400-800 nmの可視光を照射したところ、100時間にわたって水素が生成し、触媒回転数は93と見積もられた。この値はこれまでに報告されている白金錯体型光触媒の中で最大であることから、Pt2(bpia)Cl3は高い触媒耐久性を示すことが明らかとなった。また、触媒反応機構を詳細に解析した結果、還元的消光によって一電子還元体が鍵中間種として生成し、これが二分子関与することによって水素生成触媒反応を進行していることが明らかとなった。さらに、Pt2(bpia)Cl3は580 nm以上の赤色光照射下においても、S-T遷移を発端とする低エネルギー光水素生成反応を駆動できる史上初の分子性光触媒として機能することを見出した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は人工光合成機能を備えた分子性光触媒の開発を目的としており、この目的達成のためには、水からの酸素生成機能を示す光触媒、水素生成機能を示す光触媒、および二酸化炭素還元機能を示す光触媒などの開発が必要不可欠である。さらに、太陽光の利用効率の向上という観点から、長波長の可視光を利用して水素生成反応や二酸化炭素還元反応を駆動できる分子性光触媒を開発することも非常に重要となる。 今年度は、長波長領域の可視光を用いて水からの水素生成触媒反応を駆動する新規分子性光触媒の開発に取り組んだ。上述した通り、Pt2(bpia)Cl3は500~700 nmの広い波長範囲におよぶブロードなS-T遷移吸収帯を有する。Pt2(bpia)Cl3は、犠牲還元試薬EDTAを含む酢酸緩衝溶液中(pH 5.0)において500 nmよりも長波長の可視光のみを照射した条件下においても水素生成触媒機能を示すことが明らかとなったことから、Pt2(bpia)Cl3はS-T遷移を発端として水素生成触媒反応を駆動できる史上初の分子性光触媒であることを見出した。さらに、Pt2(bpia)Cl3は580 nm以上の赤色光照射下においても触媒機能を示したことから、長波長領域の可視光を用いて水からの水素生成触媒反応を駆動できることも明らかとなった。さらに、類似構造を有するいくつかの白金単核錯体の合成と触媒機能評価を行ったところ、これらの錯体はいずれもPt2(bpia)Cl3に特徴的な500 nmよりも長波長領域にみられるS-T遷移を持たないことが明らかとなった。従って、S-T遷移の発現にはbpia配位子を用いて2つの白金イオンを近接させることが重要であることが判明した。これは、長波長領域の可視光を用いて水からの水素生成触媒反応を駆動する分子性光触媒を開発する上で非常に重要な知見である。
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| Strategy for Future Research Activity |
今年度は580 nmよりも長波長の可視光を用いて水からの水素生成触媒反応を駆動する分子性光触媒(Pt2(bpia)Cl3)を開発することに成功した。しかしながら、Pt2(bpia)Cl3の600 nmにおけるモル吸光係数は1,000 M-1cm-1未満と非常に小さく、赤色光の利用効率は依然として低いのが現状である。従って、赤色光の利用効率を飛躍的に向上させるためには、Pt2(bpia)Cl3のS-T遷移のモル吸光係数の顕著な増大、および光水素生成反応の光量子収率の劇的な改善が必要不可欠といえる。そこで次年度は、Pt2(bpia)Cl3の分子構造変化によるS-T遷移のモル吸光係数の増大に取り組む計画である。既に、Pt2(bpia)Cl3のCl-配位子をI-配位子に置換した新規錯体(Pt2(bpia)I3)の合成に成功しており、Pt2(bpia)I3のS-T遷移のモル吸光係数はPt2(bpia)Cl3とほぼ同程度であるものの、400~500 nmにおける吸収帯のモル吸光係数は顕著に向上していることが明らかとなっている。Pt2(bpia)I3は400~800 nmの可視光照射下においてPt2(bpia)Cl3よりも高い触媒活性を示すだけでなく、580 nm以上の赤色光照射下においてもPt2(bpia)Cl3より高い触媒活性を示すことも明らかとなっている。今後はPt2(bpia)I3が赤色光照射下においても高い触媒活性を示す理由を明らかにしていくだけでなく、S-T遷移のモル吸光係数の増大を志向した新規白金二核錯体の合成と機能評価を進めていく計画である。これらの研究によって、S-T遷移のモル吸光係数を増大させるのに効果的な分子構造の設計指針を明らかにしたいと考えている。次年度以降も引き続き、赤色光水素生成触媒反応の飛躍的な効率向上を目指した研究に取り組んでいく計画である。
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