| Project/Area Number |
24K03476
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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| Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
大林 のり子 明治大学, 文学部, 専任教授 (00335324)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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| Keywords | ラインハルト / スェーデン / デンマーク / 演出家 / 招聘演出 / 舞台創造 / 協働 / 人材育成 |
| Outline of Research at the Start |
特に、1920年代の劇団を伴わない現地スタッフや俳優との協働によるアンサンブル演出や群衆演出を実現した演出家マックス・ラインハルトの活動に注目し、その人材交流と集団的創造の成果に光を当てる。それは欧州で醸成された「演出家」や「演出」の機能を、異なる文化の中に浸透させる過程であり、かつ現地の舞台芸術を担う人材育成の場を提供している。 この時期の「演出家」が、単独で国際的な場でクリエイションを行うという事象の萌芽を確認し、「演出家」を取り巻く現代的な問題にも照らし、「演出家」の仕事と人材育成に関する問題を捉え直すことを目指す。
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| Outline of Annual Research Achievements |
1920年代にドイツ語圏で培われた演出手法および「演出家」が、20ー30年代の国際的な挙動の場において、どのように機能したのかについての調査を進める上で、1年目の2024年度には、特にマックス・ラインハルトの20年代のスェーデンおよびデンマークにおける仕事に関する調査を進めた。この時期には、ラインハルト率いるドイツ劇場の海外公演として、いくつかの演目を劇団員を伴って上演する機会を両国で行うと同時に、現地の俳優やスタッフと共に演出家のみが招聘されて製作に携わった演目の例がみられる。 各国の事情が異なっているのは、スェーデンでは10年代にすでにドイツ劇場のラインハルト演出による客演が定期的に行われていたのに対して、デンマークでは10年代の客演は実施がなかった。結果として、ラインハルトの演出手法に関する理解度の違いが生じており、招聘演出として依頼する際の演目選択や期待された仕事内容に相異が生じていたことが分かった。 1910年代には「演出家」の登場が欧米諸国に知られることになるが、デンマークではドイツ語圏の演出家の強い指導力と統制力に加え、技術革新にともなう照明技術や舞台機構を操るラインハルトの仕事ぶりは、ゲルマン的な威圧感を想起させるものとして批判的に受けとめられる傾向も見られる。 他方、10年代に客演公演が実施されたスェーデンでは、その後、ドイツ劇場へ演出の仕事を学びに行った演劇人も多く、ラインハルトの仕事を間近に体験しながら、直接学び取った演出手法を自国へ持ち帰る事例もあり、スェーデンでのラインハルトの招聘演出の仕事も、言語の違いは見られるものの協力的かつ統合性を目指す演出方法が機能していたことが分かる。 「演出家」の国際化において、劇団を伴う演出の仕事に触れる機会があった地域とそうではない地域で、その仕事の内容に相異が生じていることが明らかになった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マックス・ラインハルトに関する資料収集については、申請者の主たる専門領域のため、基本的な資料が手元にある。したがってまずは20年代のラインハルトの国外での活動について、その状況と比較可能な事例について考察を進めることができた。 非ドイツ語圏における活動については、ひとりの研究者が各地の言語圏に残された資料に直接触れることは難しいが、先行研究や資料もあり、今回はそれらをもとに研究課題としている問題に関して、新たな視点で考察を進めることができた。 2025年3月にはベルリンへ調査に赴き、図書館等で資料収集および調査を行い、ラインハルトと同時代または後の世代の演出家の活動についての調査の可能性を探った。 2024年度で、進捗が遅れている点として、年度の研究成果を論文や発表として成果発表できていないことがあげられる。その理由は、2024年5月に受理された申請者の博士論文を出版(2025年6月刊行予定)することが決まり、2024年度の調査研究の進捗内容は、その出版物の内容に組み入れる予定である。したがって調査研究の成果公開が2024年度にはできていない。
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| Strategy for Future Research Activity |
1920年ー30年代の欧米諸国における「演出家」の国際間の協働について、引き続きラインハルトの北欧以外の地域における仕事も、1年目の北欧に関する考察を踏まえて、あらためて再考を進めていきたいと考える。 合わせて、同時期にラインハルトと比較可能な国際的な活動を行った「演出家」に関する資料収集や調査も視野に入れていければと考えている。 また「招聘演出」という「演出家」が単独で他国の俳優やスタッフと仕事をする事例が、定着していくのはいつ頃からのことなのか、30年代以後、あるいは第二次世界大戦後の「演出家」の仕事の状況なども見渡していきながら、あらためて課題としている時期の特徴を明らかにしていければと考えている。
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