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「ケアと労働法」に関する規範論的検討――就労貧困とのかかわりで

Research Project

Project/Area Number 24K04570
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Allocation TypeMulti-year Fund
Section一般
Review Section Basic Section 05040:Social law-related
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

矢野 昌浩  名古屋大学, 法学研究科, 教授 (50253943)

Project Period (FY) 2024-04-01 – 2027-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2024)
Budget Amount *help
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Keywordsケア / 民主主義 / 労働法 / ヴァルネラビリティ / ケア保障 / 就労貧困 / 不完全就業
Outline of Research at the Start

現在の就労貧困問題の解決のためには、雇用・労働条件保障と失業保障という視点からのアプローチだけではなく、ケア保障という視点からの検討が必要ではないか、家庭内での無償ケアワークのあり方は、家族支援としての有償ケアワークのあり方と相互に影響しあい、このようなケアワークのあり方は、有償労働全体のあり方と相互に影響しあうのではないか、ケアの提供と配分をめぐって、労働法の視点を組み入れた規範論が必要ではないかという基本的な問題意識から、ケアに関する近年の法学・政治学の動向を就労貧困問題と結びつけつつ検討することで、労働市場と家族の法政策のなかで、ケア保障のために労働法が果たしうる規範論的寄与を考察する。

Outline of Annual Research Achievements

第1は、ILOの理論動向の検討である。具体的には、ILOが2022年に公表した報告書「労働におけるケア」を素材として、ケア休暇中の所得保障に社会保険・社会保障で対応する意義、自営業者にケア休暇保障を拡大する必要性等に関する議論をフォローした。
第2は、イギリスの法理論動向の検討である。本研究テーマについては、「家族的責任を負う労働者」アプローチと、「ケアワーカー」アプローチとが存在するが、前者に関するイギリスの法理論動向については昨年度末にある程度まとめて検討する機会があり、上記のILO報告書もそのようなアプローチからのものであるため、後者に関するイギリスの法理論動向の検討に着手した。具体的には、2017年に公刊され、労働法学者等による書評が発表された、リディア・ヘイズ『ケアの物語』を検討した。ケアを受ける側では選択の自由を増やしたとされるイギリスの2014年ケア法(2022年改正)が、ケアワーカーの労働条件保障に関する公的責任という点では、その後退をもたらしたロジックなどをフォローした。
第3は、長期ケア提供に関する比較制度論をフォローし、医療と社会福祉サービスとの間、およびコミュニティでの支援と施設での支援との間での高い代替可能性、ケア提供における税負担方式(ミーンズテスト付であるが、現場の専門家がニーズとサービスのマッチングを行う)と社会保険方式(透明性が高いが、アルゴリズムに組み込めないニーズを無視するおそれがある)の特徴等を理解した。
第4は、ILOのディーセントケアワークアプローチでも重視されている「社会的対話」論について、とくにフランスでの労働法理論の展開を参考にしつつ、民主主義論との関係で検討をおこなった。以上のほかには、ヴァルネラビリティ概念に着目したフランスの社会保障法上の議論にも着目したが、いまのところまとまった成果に結びついていない。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

第1に、ILOとイギリスの「ケアと労働法」に関する議論動向について、「家族的責任を負う労働者」アプローチと「ケアワーカー」アプローチとに分けつつ、私自身の研究においてほぼ未着手となっていた後者に重点を置きつつ、フォローを行うことできた。
第2に、「ケアワーカー」アプローチとの関係で、ケアギビング制度を税負担方式と社会保険方式とに大別しつつ、両者の比較制度論的な検討に着手できた。
第3に、ILOが唱えるディーセントケアワークアプローチにおいて「社会的対話」が重視されていることを踏まえつつ、ケアギビングを当事者参加と民主主義の観点から検討する基礎的な視点について、フランス法を素材にして考察することができた。
第4に、フランスの社会福祉理論に関して、英米法の理論と同様に脆弱性アプローチを示唆すると思われる動向もフォローしたが、ケアレシピエントサイドからの一般的な権利へのアクセス論が中心となっており、とくにケアギビングサイドからの労働法との接続を踏まえた議論については見出すことができないままとなった。

Strategy for Future Research Activity

第1に、就労貧困(in-work poverty)に関する欧州委員会の報告書等を中心として、EUにおけるケア保障・世帯支援政策についてコロナ過を踏まえた新しい政策動向がないかをフォローする。
第2に、とくにイギリスの法理論におけるケア保障論に関する資料収集と検討を引き続き行いつつ、「家族的責任を負う労働者」を起点するアプローチと、「ケアワーカー」(ケアを有償で提供する労働者)を起点とするアプローチとのそれぞれの意義・メリット等を明らかにする。
第3に、ILOの報告書やそれに関連する各種文献等の分析を通じて、ILOが提唱するディーセントケアワーク論の基底的視角である「無償ケア労働―有償労働―有償ケア労働の輪」を統括的な概念装置として、「家族的責任を負う労働者」アプローチに対応する「労働におけるケア」論の動向の検討をさらに深めるとともに、「ケアワーカー」アプローチに対応する「看護」(介護を含む)職員の地位保障に関する議論のフォローを行う。
第4に、ケアギビングに関する民主主義を、フランス法における「社会的対話」論を素材として検討する作業を進める。その場合に社会的対話を行う集団とその代表をどのように把握できるかについて留意する。
第5に、以上の作業と並行しつつ、人間のヴァルネラビリティを起点として労働法・社会法にアプローチする欧米の法理論動向について、引き続き分析を進める。

Report

(1 results)
  • 2024 Research-status Report
  • Research Products

    (1 results)

All 2025

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 社会的民主主義論と社会的対話2025

    • Author(s)
      矢野昌浩
    • Journal Title

      季刊労働法

      Volume: 288号 Pages: 21-38

    • Related Report
      2024 Research-status Report

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Published: 2024-04-05   Modified: 2025-12-26  

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