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道徳的危険に対する保険者免責の基礎理論―ドイツ法との比較分析

Research Project

Project/Area Number 24K04631
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Allocation TypeMulti-year Fund
Section一般
Review Section Basic Section 05060:Civil law-related
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

三宅 新  北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (30621461)

Project Period (FY) 2024-04-01 – 2027-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2024)
Budget Amount *help
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Keywords保険法 / ドイツ / オプリーゲンハイト / 重大事由解除
Outline of Research at the Start

日本の保険法における重大事由解除は、ドイツの特別解約権に由来すると考えられている。しかし、その効果のうち、免責についてはこの特別解約権には存在しない効果である。その代わりに、ドイツでは契約上のオプリーゲンハイトという概念が存在し、道徳的危険に対しては約款で規制する反面、その約款の効果の限界を条文で定めることとなった。この概念については、1980年代までは日本で先行研究が存在するものの、その後の法改正を踏まえた研究は存在しない。そこで、本研究では、このようなドイツの免責法理について欠落している部分を補い、そこから得られた示唆を基に日本の重大事由解除に関する立法論・解釈論を展開していく。

Outline of Annual Research Achievements

ドイツ保険契約法の「契約オプリーゲンハイト」という保険契約者の行動規範をめぐる現状を明らかにした。
まず「重要性判例」と呼ばれる判例法理(保険契約者が行動規範に違反した場合の免責要件を限定する法理)が現行法でどのように解釈されているかについて、自動車保険における事故後の行動規範との関連で論じた。そこでは、自賠責保険の免責限度額が導入されたために、同法理が一定程度影響力を失ったものの、その後の判例はこの法理を広げ、当て逃げ・ひき逃げの事例では因果関係がなくても保険者が免責されることが確立した。しかし、現行法に改正後、この点に関する規律が明確ではなかったこともあり、同法理が生きているか否かが不明確であった。そのような中、2012年の判例は、同法理とは決別している解釈を示した。
次に、「隠れたオプリーゲンハイト」という法理(保険者が保険契約者の行動規範ではなく付保範囲として行動を律することで法の適用を回避することに対して、行動規範として扱う法理)の現状について明らかにした。この法理は、保険契約法の片面的強行規定を軸に形成されてきたが、約款規制法が制定されたことで、その内容は柔軟に変化してきた。さらに、この法理は約款法分野で確立した法理に抵触するようにも考えられ、それが現行法において問題になり得た。そうしたところ、一連の判例によって同法理がまだ適用の余地があることが示された。
以上から、日本の片面的強行規定に関する解釈論を展開した。すなわち、日本では保険法の立案担当者によって、当然に形式的な解釈によって片面的強行規定への抵触が検討されるような主張がなされた。しかし、日本が倣ったドイツの片面的強行規定も、日本同様の規律をしていながら、柔軟に解釈されているのである。これらに基づき、片面的強行規定性の実質的な解釈を提唱した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2024年度は、オプリーゲンハイトに関する比較法研究の論文を2点(計178頁)発表することができた。特に、いずれも長らく研究が欠落していた分野であったため、この点のドイツの現状を紹介することで基礎研究に貢献できたものと考える。また、現時点ですでに日本法の解釈論を形にすることができた点は、当初の計画以上に進展している点である。
さらに、この分野を研究する場合は日本の法律とは建て付けが違うために多くの予備知識が必要になるところ、これに関して現行のドイツ保険契約法を紹介する日本語文献はまだかなり少ない。しかし、自らこの点の研究を進めることで、多くの予備知識を得ることができた。このような予備知識が得られた結果、これまで日本ではほとんど知られていないような問題点や新たな課題が見えてくるようになった。
もっとも、以上のような問題点・課題は、残りの研究期間で取り組むべき内容を示すものであるところ、その分量が思いのほか多く、残りの研究期間での計画を凝縮する必要が出てきた。その点は、当初予定していなかった負担である。
以上より、当初の計画以上に進展している点と新たな負担が生じている点を総合的に勘案し、おおむね順調に進展していると評価した。

Strategy for Future Research Activity

本研究では、道徳的危険に関する保険者免責について基礎研究を行うものであるが、日本では道徳的危険を重大事由解除という制度が担っている。この制度は、従来の法制度・約款では対処できない事案を解決するために当初は明文の根拠なしに解釈によって示されたところ、ドイツでも権利失効法理という解釈による免責理論が存在する。
この点は、すでに日本で先行研究があるため、本研究では触れる必要がないと当初思っていたが、自分の研究を進めてドイツ保険契約法の予備知識が増えていくにつれ、当該先行研究に対して多くの疑問が生じるようになった。例えば、戦後長らくこの法理がなおも通用するか否か不明だったところ1990年頃に再度持ち出されるようになったのはなぜかという点や、これを扱った判例は詐欺請求という比較的珍しくない事案であるにもかかわらず保険者が免責規定を用意していなかったのはなぜかという点などである。
これらの疑問点は、上記先行研究によっては解消できないため、判例の背景にある事情を調べていくことや、それまでの学説の状況を調べることによって、先行研究に不足している部分を補っていく必要がある。また、この法理は、日本の重大事由解除導入の契機となった裁判例と類似点が非常に多いため、それとの関連を明らかにしていくことが課題となってくる。

Report

(1 results)
  • 2024 Research-status Report
  • Research Products

    (3 results)

All 2025 2024 Other

All Journal Article (2 results) (of which Open Access: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 重大事由解除の片面的強行規定に関する比較法的考察―ドイツの隠れたオプリーゲンハイト法理から導く解釈論―2025

    • Author(s)
      三宅新
    • Journal Title

      生命保険論集

      Volume: 230号

    • Related Report
      2024 Research-status Report
  • [Journal Article] ドイツ保険契約法28条3項における因果関係不存在と背信性―自動車保険における待機義務違反の事例に基づいて―2024

    • Author(s)
      三宅新
    • Journal Title

      生命保険論集

      Volume: 227号

    • Related Report
      2024 Research-status Report
    • Open Access
  • [Remarks] researchmap:三宅 新 ミヤケ ハジメ (Miyake Hajime) 論文

    • URL

      https://researchmap.jp/miyake/published_papers/46832189

    • Related Report
      2024 Research-status Report

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Published: 2024-04-05   Modified: 2025-12-26  

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