| Project/Area Number |
24K05307
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Section | 一般 |
| Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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| Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
里村 和歌子 九州大学, 人間環境学研究院, 助教 (70837955)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2028-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2027: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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| Keywords | 沖縄 / 米軍基地 / 社会運動 / ポストコロニアリズム / ジェンダー / 脱植民地 / ポジショナリティ |
| Outline of Research at the Start |
0.6%の国土面積の沖縄県に70%もの米軍専用施設が偏在するという政治的かつ社会的な問題解決は一刻を争う事態となっている。このような状況に対し住民による多様な抵抗運動がおこなわれ、社会学的研究の対象となってきた。しかしながら沖縄内部に目を向けた事例研究を除けば、マジョリティの立場から沖縄と「本土」の女性たちのポジショナリティに向き合った研究はほぼなされてこなかった。そこで本研究は、沖縄の基地過重負担問題というアクチュアルな課題を前にした歴史のなかからのマイノリティの発話に、マジョリティはどのような応答が可能なのかという学術的な問いに取り組むものである。
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| Outline of Annual Research Achievements |
2024年度は、脱植民地化を訴える社会運動に関与する女性たちとの対話的な関与を進めるという本研究の目的に照らして、理論的、実践的両面で重要な進展があった。第一に、沖縄・伊江島において「ヌチドゥタカラの家」を訪問し、謝花悦子氏の証言を通して、故阿波根昌鴻氏と現在の平和運動の実践に接することができた。とりわけ、基地の記憶と戦後沖縄における女性の語りの接合が、脱植民地的観点からどのように理解されうるかについて、貴重な示唆が得られた。第二に、協力研究者と那覇市と福岡市で打ち合わせを行い、次年度の聞き取り調査の設計や参画方法、理論枠組の共有について実質的な意見交換を行うことができた。これにより、調査倫理や共同執筆の方針に関しても共通の理解が形成されつつある。第三に、北海道大学で行われた日本文化人類学会第58会研究大会に参加し、先住民族の周縁化や表象の問題について活発な意見交換とネットワーキングを行うことができた。これが契機となり、分野横断的な共同研究の準備が現在進行中である。さらに、沖縄出身で「本土」に在住する一人の女性へのインタビュー調査を実施した。11月に参加した第97回日本社会学会大会で「脱植民地運動に携わる沖縄出身『本土』在住女性の生活史――フェミニスト・インタビューという試み」というテーマで口頭発表を行い、差異を取り結ぶ連帯のあり方という理論的課題についてフロアと建設的な議論を交わすことができた。以上のように、今年度は沖縄と「本土」双方をつなぐ実践的・学術的連携のきっかけが生まれた年となった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、研究協力者とのネットワーキングおよび聞き取り調査において一定の成果を得たものの、当初計画していた参与観察の本格的実施には至らなかった。進捗の遅れの主な要因は、対話的関与を重視するフェミニスト・エスノグラフィの方法論に則り、研究対象との信頼関係を丁寧に築くことを優先したため、調査開始を拙速に進めることは避けたことが挙げられる。一方で、沖縄・伊江島での予備調査や、北海道におけるアイヌの研究者や実践家との意見交換など、地域横断的なネットワークの形成には進展が見られ、今後の本格的調査に向けた基盤が着実に整ってきている。また、研究協力者との個別の打ち合わせを通じて、来年度の合同テーマセッション開催に向けた構想も具体化しており、今後は両地域間の対話的実践の場を形成していく予定である。全体としては、方法論的配慮を優先したことで進行は緩やかとなったが、長期的な視座からは意義のある蓄積であったと言える。
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| Strategy for Future Research Activity |
2025年度以降は、2024年度に形成した関係基盤の成果をふまえ、両地域における脱植民地運動の語りの収集や比較分析を本格的に進めていく。沖縄では、長年にわたり基地に直面してきた記憶の継承とその語りの変容を追跡し、本土では、基地引き取りに向けた語りがいかなる地域的文脈や社会的背景に拒絶、ないしは支えられてきたのかを多角的に分析する。加えて、調査協力者との関係を継続しながら、当事者が語りうる/語りえない経験や沈黙に着目することで、エスノグラフィが孕む調査者と調査される者という倫理的課題にも引きつづき取り組む予定である。なお、現段階で「本土」における調査対象地域や団体が限定的であるため、2025年度は引き続き調査対象の拡大を目指し、研究協力体制の強化を図っていく。また、2026年度以降は、蓄積された知見をもとに沖縄と「本土」の間の連帯可能性/不可能性を理論的に深化させるとともに、合同テーマセッションの企画や共同執筆を通じて研究成果を公表していく。研究後半では、沖縄と「本土」、調査者と調査される者という二重の非対称性を再帰的に踏まえながら、対話を積み重ねることによる対話的研究としての展開を目指す。
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