| Project/Area Number |
24K21019
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Review Section |
Basic Section 80020:Tourism studies-related
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| Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
鍋倉 咲希 立教大学, 観光学部, 助教 (50980207)
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| Project Period (FY) |
2024-04-01 – 2027-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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| Keywords | 観光 / ホスト/ゲスト / ライフスタイル移住 / ネットワーク / 東南アジア / ホスト/ゲストの流動化 |
| Outline of Research at the Start |
本研究はライフスタイル移住の概念を手掛かりに、従来の観光研究において自明視されてきた「ホスト/ゲスト」の二分法を問い直し、その流動化の実態を個々人の生活経験の次元から分析するものである。計画として、東南アジアに移住して観光産業に従事する日本人への聞き取り調査を行い、人びとが他者との関係性のなかでいかに移住先を選択し、住居や仕事を決め、観光(者)と向き合っているのかを分析する。以上を通じて、本研究はライフスタイル移住研究で見落とされてきた周囲とのネットワークのなかで移住者の生活が成り立っていること、それがホスト/ゲストの流動化と呼びうる新たな状況を引き起こしていることを指摘する。
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、従来の観光研究において自明視されてきた「ホスト/ゲスト」の静態的な二分法を問い直し、その流動化の実態を個々人の生活経験の次元から分析するものである。その際、「他者との関係やネットワークのなかで生じるライフスタイル移住」という視点を補助線とし、人びとがいかなる関係の布置のなかで自身の望む仕事や生活を実現させている/諦めているのかを検討する。研究対象は東南アジアに移住し、観光業に従事する日本人である。 今年度は移住者の生活の概要や移住の動機に関する現地調査を進めた。カンボジア・シェムリアップ、ラオス・ルアンパバーン、ベトナム・ホーチミン、タイ・バンコクを訪問し、旅行会社や宿泊施設、飲食店等で働く日本人在住者に聞き取りを行った。2024年度までに9名に対し、これまでの経歴や現地での労働環境、現地の日本人在住者との関係性、移住理由、日本への帰国意思、およびその考え方の変化などに関する半構造化インタビューを進めてきた。2024年度の調査の結果、東南アジアへの移住とそこでの生活をめぐるひとつの流れがみえた。まず、移住の目的は特定の地域や仕事への思い入れというよりも、「海外に住みたい」という漠然とした希望が先にあり、そこに仕事の誘いや現地の人との関係性ができたことで「偶然に」、「勢い」で移住に至っている。そのため、現地でのネットワークの拠点はまず仕事先にあり、そこから生活のために自分でネットワークを広げていく形をとる。その後、社会状況やプライベートの理由から、自身での起業や日本への帰国などへと状況が変化していく。 これらのプロセスは全ての移住者に共通するものではないが、ひとつのパターンを形成している。ここから人びとが「ゲスト」として現地社会に入り、徐々に「ホスト」としての立場やふるまいを獲得していく過程や、再び「ゲスト」になる動きが示唆された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述のとおり、2024年度はこれまで培ってきたネットワークをベースに30~50代の男女に聞き取りを実施し、東南アジアという地域への移住・生活・離脱(帰国等)の一連の流れを明らかにした。とりわけ生活の維持と離脱に関しては、「移住とその地域に住み続けることはちがう」という語りや、事業を継続することの困難などが聞かれ、移住の動機と住み続ける動機を分けて考える視点が導出された。こうした調査の成果は、「移動と暮らし」や「若者の観光」をテーマとする論考にそれぞれまとめている。 一方、これまでの調査では協力者の語りにもとづくミクロな経験の分析に力点を置き、個々人の移動の背景にあるマクロな要素を含めた検討を深めることはできなかった。経済・政治などのマクロな社会背景については、バブル崩壊後の経済状況などにみられる日本社会の停滞感、2000年代以降のソーシャルメディアの展開や交通システムの拡充、さらには新型コロナウイルス感染症の流行や、東南アジアの急速な経済成長や起業・居住条件の変化などが人びとの移動/移住に影響を及ぼしていることが予想できる。そのため、今後は移住者の経歴や移住動機を社会背景と合わせて検討していきたい。
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| Strategy for Future Research Activity |
(1)文献調査:調査成果を踏まえ、2025年度は主に2分野の文献調査に取り組む。第一に、欧米圏のライフスタイル移住研究を整理し、先行研究が行ってきた議論とその問題点を明らかにすることで、本研究の独自性を定める。とくに現地調査で明らかになった移住・生活・離脱のプロセスの一般性と特殊性に注目して整理を進めたい。第二に、東南アジアをとりまく国際情勢や、日本との関係に関する資料調査を行う。これまでの調査では、一部の移住者が欧米圏への移住を経済的・精神的要因から「諦めて」東南アジアを選択した語りが聞かれた。この点から本研究では東南アジアの地域性も考慮し検討を進める。 (2)移住後のネットワークに関する現地調査:2025年度も引き続き聞き取り調査を続ける。具体的には、これまでの経歴や移住の動機、移住の方法、移住後の生活などの基本的事項と、観光者とのかかわりの持ち方、現地での暮らしを通して経験・活用しているネットワークなどを調べる。2024年度と比べて、海外での生活で築かれた他者との関係性のなかで変容する個人の考えやふるまいなどに焦点化していきたい。以上を通じて、移住者という現地社会の「ゲスト」が自身の生活のなかで「ゲスト」「ホスト」としての立場を多様に変化させ、生活を実現していることを明らかにする。
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