| Project/Area Number |
24K21996
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| Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Review Section |
Medium-sized Section 45:Biology at organismal to population levels and anthropology, and related fields
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| Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
宮西 伸光 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (80372720)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂 智広 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (80343771)
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| Project Period (FY) |
2024-06-28 – 2027-03-31
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| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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| Budget Amount *help |
¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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| Keywords | 植物糖鎖進化 / グライコミクス解析 / 環境適応性 |
| Outline of Research at the Start |
「糖鎖」は生命進化の痕跡を色濃く残し、植物進化の過程で多様化した特徴的な分子であり、この糖鎖動態の変化をグライコミクスで網羅的に解析することで植物の環境順応戦略と適応進化を糖鎖進化から検証する。統合グライコミクスの解析手法を用いて様々な環境圧に対する多様な植物内応答を糖鎖群の動態変化として読み取り、地球環境の変化や人類の栽培化の環境圧に対して“植物が頑健性(広域適応性)を獲得するプロセスを捉える”という新しい試みである。そして、糖鎖進化に裏付けされた動態変化から生物の環境適応を捉える「環境糖鎖生物学」という新しい学問領域の開拓に挑戦する。
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主題は「植物糖鎖進化に基づいた環境適応性の統合グライコミクス解析」である。植物の環境順応戦略と適応進化を糖鎖進化の側面から検証し、これらを複合的に組み合わせた統合グライコミクスの解析手法を用いて様々な環境圧に対する多様な植物内応答を糖鎖群の動態変化として読み取り、ここから、地球環境の変化や人類の栽培化の環境圧に対して、植物が頑健性(広域適応性)を獲得する進化のプロセスを捉える「環境糖鎖生物学」の新研究領域の開拓に挑戦する。植物の大進化の結果として獲得した糖鎖の多様性を明らかにすると共に、進化の節目となる環境適応のイベントを解釈するために、進化と共に変化した重要度の高い糖鎖進化の変遷・動態を網羅的に解析する。 植物進化の初期に該当するChattonella antiquaおよびC. marinaの2種類のラフィド藻について、様々な生育段階における全N結合型糖鎖を解析した結果、両種のラフィド藻に共通して最も多く検出されたのは高マンノース型構造の一つであるM9A構造であった。また、この構造はラフィド藻の成長に伴い減少する事が明らかとなった。一方、M5A構造およびM6B構造は成長に伴い増加傾向を示した。両種のラフィド藻には高マンノース型糖鎖のみが存在していた事から、ラフィド藻はβ1,2-xyloseやα1,3-fucoseを含む植物複合型糖鎖を合成する事ができないことが明らかとなった。さらに、他の植物では殆ど報告されていないM7X構造が検出され、この構造が衰退段階の初期変化おいて増加傾向を示す事が初めて見出された事から、M7X構造は環境圧変化や環境適応に関与している事が示唆された。植物が多細胞化へ移行する大きな進化イベントを起こすためには、パウチ型糖鎖や植物複合型糖鎖を合成する機能を獲得しなければならず、この機能を獲得した種のみが次の高度進化へと進んだ事が示唆された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の前半で計画している「植物の進化の結果として獲得した糖鎖の多様性を明らかにする」事について、植物進化の初期に位置している微細藻類の解析が完了し、微細藻類が生合成できるN結合型糖鎖はハイマンノースのみである事を初めて明らかにした。また、それらの各構造比は生育段階によって大きく異なり、生育と共にM9A構造の減少が起こる事やM5A構造およびM6B構造が減少傾向を示すという特徴的な挙動を明らかにした。また、特殊な構造であるM7X構造の存在を確認すると共に、この構造が環境圧変化や環境適応に重要な役割を果たしている可能性を初めて見出した。微細藻類の糖鎖の多様性については様々な構造の高マンノース型糖鎖は存在していたが、パウチ型糖鎖や植物複合型糖鎖は存在しておらず、単細胞では糖鎖の多様性が限定されている事が初めて明らかとなった。この事は、現在解析を進めているラフィド藻以外の他の微細藻類についても共通して確認されている事から、進化における極めて初期段階の植物においては、パウチ型糖鎖や植物複合型糖鎖を合成する機能の獲得までには至っておらず、多細胞化へ移行する大きな進化イベントを起こす事ができていない段階である事が考えられた。本年度のこれらの一連の研究成果について、予定通り植物進化の初期段階に位置している植物糖鎖の網羅解析が完了し、次年度の研究計画を展開するための研究成果を得る事ができている事から、総じておおむね順調に進展している。
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| Strategy for Future Research Activity |
研究開始から一年が経過し、植物進化の初期に位置している単細胞微細藻類の一連の糖鎖構造解析情報を得る事ができた事から、次年度では植物の分裂組織・幹細胞系の形成前後、生長様式獲得前後、分岐組織形成能獲得前後などの大きな進化イベントの各段階での各糖鎖構造の網羅的解析を行い、それらの基盤情報の比較と評価を試みる。研究の進捗状況に合わせ、高等進化を遂げた植物群について様々な環境圧変化における適応と適応進化に寄与する糖鎖の探索を開始し、植物進化の鍵となる糖鎖群の絞り込みと環境適応性との関連性解析へと研究を展開させる。
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