Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
本研究は、第二次安倍政権をめぐる左右対立に着目し、感情的分極化を生み出した左右両派の政治的言説の歴史的背景を明らかにする。感情的分極化のメカニズムの解明は民主主義諸国に共通する喫緊の課題だが、左右の対立構造を分析する他国の分極化研究とは異なり、日本の事例に関する説明は右派にのみ着目してきた。これを踏まえ本研究は、社会意識論の観点から政治家・社会運動の言説分析を行うことで、左右間の相互作用も含めた言説の歴史的背景を明らかにする。これによって、1990年代の社会運動の言説が、多数派の獲得を目指す政治勢力の言説と接続し、有権者を囲い込むために対抗勢力を感情的に非難する言説を生み出した可能性を示す。