Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
本研究は、ヒトiPS細胞由来心筋細胞によって作製した細胞シートを心筋梗塞モデルであるモルモットの梗塞部位に移植し、その治療効果、および移植心筋細胞が宿主心筋細胞に与える電気的影響の解析を行い、最終的に、ヒトiPS細胞由来心筋細胞シートを用いた心筋再生療法の臨床応用に向けた安全性についての検討をすることを目的として行った。移植4週間後、心エコーでの心機能改善評価では、無治療、ヒト線維芽細胞シート移植に比べ、ヒトiPS細胞由来心筋シート移植の群で心機能改善がみられた。しかし、心電図モニターによる自発的不整脈の発生を観察したが、それぞれの群での違いは見られなかった。また、電気生理学的検査による心室性頻拍誘発試験では、無治療、ヒト線維芽細胞シート移植に比べ、ヒトiPS細胞由来心筋シート移植の群で不整脈の発生が抑えられる傾向がみられた。さらに電気的結合の評価のために使用するため、蛍光CaセンサーであるGCaMPを遺伝子導入したiPS細胞(GCaMP+iPS細胞)を作製し使用した。GCaMP+iPS細胞も同様に心筋細胞へ分化誘導し、細胞シートを作製し、拍動とGFPの蛍光発色を確認することができた。今後この細胞シートを移植し、2週間後に開胸、実態顕微鏡によって心外膜側からGFPの発色を観察し、このGFPの発光強度と心電図を比較することにより、移植心筋細胞と宿主心筋細胞との同期を確認することが必要である。これまでのところ、無治療、ヒト線維芽細胞シート移植に比べ、ヒトiPS細胞由来心筋シート移植の群で心機能改善、不整脈誘発試験において抑制傾向が確認できている。
All 2013
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)
Ann Anat
Volume: 195 Issue: 1 Pages: 50-56
10.1016/j.aanat.2012.05.004