Project/Area Number |
25901001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
哲学・芸術学
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
江谷 和樹 鳥取市立美保小学校, 小学校教員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | ガムラン / 口頭伝承 / アジア伝統音楽 |
Research Abstract |
【研究目的】 本研究は、小学校音楽科におけるアジア伝統音楽の指導について、インドネシア・バリ島西部に伝わるガムラン・ジェゴッグの音楽構成法に基づく教材開発を行い、実践場面における児童の音楽的行為を分析・考察することを通して、この教材がもたらす学びの特性を明らかにする教育実践研究である。 【研究成果】 本研究を通して明らかになった、アジア伝統音楽の学習におけるガムラン・ジェゴッグの教材としての有用性を以下に3点述べる。 第1に、ジェゴッグの音楽に使われる音階が四音音階(バリ島ガムランで一般に使われる五音ペロッグから一音欠落した音階)で、かつ基本旋律の繰り返しが多用される比較的単純な構成のため、小学校の児童でも個別の技能差にかかわらず容易に演奏に取り組めること。 第2に、演奏者同士が独自の合図を共有することで、特定の指揮者によらない密接な音楽的なコミュニケーション能力が育まれること。 第3に、学習の過程で演奏者が特定の楽器に固定されず、様々な楽器を口頭伝承で習得するため、個々の奏者が常に音楽の全体像を把握して演奏でき、状況の変化に瞬時に対応することが可能なこと。 以上の教材としての有用性から、ガムラン・ジェゴッグの音楽構成法に基づいたアジア伝統音楽の学習は、演奏者間の相互作用を促進し、児童の音楽的観察力を高めるとともに、他者と積極的に意思を交換する力を育むことが考察された。このことは、これまで学校音楽教育で経験させることが困難だった、状況に依存した可変的な音楽の在り方を経験させることにも有用である。
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