Project/Area Number |
25902009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
国語・国文学
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Research Institution | 長崎市遠藤周作文学館 |
Principal Investigator |
池田 静香 福岡共同公文書館, 専門員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2013: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 遠藤周作 / キリスト教 / アウシュヴィッツ |
Research Abstract |
申請者は、作家・遠藤周作が、戦後における倫理的規範を確立していく上での「希望」と目した「コルベ神父」に関して、作者自身による言及を発掘収集し、その変遷を分析することを通して、先の大戦における最大の地獄のひとつである「アウシュヴィッツ」という現実を前に、遠藤が「コルベ神父」の人生に「希望」を託さざるを得なくなっていく過程を明らかにすることを志した。 そのために、本年度は、キリスト教系雑誌(「世紀」「カトリック生活」「あけぼの」「福音と世界」等)のバック・ナンバー、並びに遠藤の書籍を確認し、それらに遠藤によるアウシュヴィッツもしくはコルベ神父関連の言及がないかを調査した。そして、その結果確認できた資料(17本)をもとに、遠藤がコルベ神父をモデルとした人物を登場させた二つの小説『死海のほとり』(新潮社昭48年)と『女の一生二部』(「朝日新聞」昭56年7月3日~昭57年2月7日)の間にある神父造型に関する表現の差異について、何故そのような差異が生じたのかを改めて分析し、論考「遠藤周作における「拷問と虐殺の時代」との対峙」(学会誌投稿中)としてまとめた。また、この論考では、アウシュヴィッツを描く際、遠藤が意識していた曽野綾子によるコルベ神父伝である『奇蹟』(毎日新聞社昭48年)や「落葉の声」(「文学界」昭47年2月)との比較分析を行い、遠藤によるアウシュヴィッツ表象の特徴のひとつを指摘した。 また同じく、遠藤がアウシュヴィッツを描くにあたって中心的な参考書としたV・E・フランクル『夜と霧』(霜山徳爾訳みすず書房昭31年8月)に関して、『夜と霧』本文から遠藤著作への引用のあり方について、遠藤自身の言及を根拠に分析し、その引用のあり様から考えられる遠藤が描くアイシュヴィッツという物語空間における「希望」について考察を深めた(論考「遠藤周作における「同伴者イエス」―「母なる神」からの飛躍と後退」(「九大日文」23号79-94頁))。
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Report
(1 results)
Research Products
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