Project/Area Number |
25904006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
史学
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Research Institution | 千葉県立現代産業科学館 |
Principal Investigator |
小笠原 永隆 千葉県立現代産業科学館, 主任上席研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2013: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
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Keywords | 千葉県浦安市 / 近世 / 貝塚形成 |
Research Abstract |
浦安市元町地区を中心とする貝殻散布地分布調査の実施(現地踏査)を実施し、貝殻の散布範囲を把握した。ただし、貝殻散布範囲の大半は個人宅地及び造成地内であり、簡易ボーリングさえも困難な場所であり、層厚の計測は一部分に限られた。従って、人為的な堆積の検討は表面採取した拐取及び人工遺物の状況から判断し、人為的と認識された貝殻散布図を作成した。 この結果より、数か所の試掘調査候補地を選定したが、ほとんどは地権者の同意を得ることができず、簡易ボーリングに代用せざるを得なかった。一か所のみ同意の得られた浦安市立堀江小学校グランド内のみ試掘調査を10月13日に実施した。 以上の調査の結果により、浦安市元町地区を中心に人為的な貝塚形成が認められ、そのすべてが近世以降の所産と確認することができた。一部の地点からは江戸時代の所産と考えられる遺物(焙烙、茶筒)が採取され、貝塚の形成は江戸時代に始まっていることが推察される。 地元住民の聞き取り及び浦安市立郷土資料館が実施した民俗調査の結果から、元町地区では明治期以降、貝剥きを盛んに行って「剥き身」を商品として流通させ、貴重な現金収入としていたことが確認され、同時に残滓となった貝殻を自宅周辺に廃棄していたことが判明した。今回確認した貝殻散布範囲は、聞き取りした貝殻廃棄場所とほぼ一致していた。 簡易ボーリング調査から得られた堆積している貝殻の厚さは1m前後に達している地点も多いうえ、極めて密に堆積していることが確認され、総合するに相当量の貝殻が人工的に堆積していると推定された。さらに、表面採取した貝殻の種類は多岐にわたるものの、他地域の貝塚と比較しても、いずれも食用にしたものと考えられるが、聞き取りした近代以降の「剥き身生産」に供したものばかりではなく、それ以前の自家食用に供した可能性も推定された。 なお、上記調査に併行して、近世貝塚が特徴的に形成される茨城県霞ケ浦沿岸及び神奈川県三浦半島の取材を行い、比較検討の資料を収集した。 以上、今回の調査研究では、目的の一つとして設定した中世以前の貝塚形成については明確に確認することはできなかったが、近世以降の貝塚形成及び食生活解明という面では、極めて貴重なデータを採取し、その変遷の一部を明らかにすることできた。
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