自然資源としてのバオバブ樹をめぐるモラル・エコノミーとその変貌に関する研究
Project/Area Number |
25905004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
地理学・文化人類学・地域研究
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
黒田 真 福井県立大学, 学術教養センター, プロジェクト研究員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2013: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | バオバブ / 地域資源 / モラル・エコノミー |
Research Abstract |
1. 研究目的 近年タンザニアでは、バオバブの種子から採取される油が一種の医薬品として急速に需要を伸ばしてきた。こうしたバオバブに対する新たな需要の拡大が、広大なバオバブ林を内包するドドマ州農村の社会経済にいかなる変化を及ぼしつつあるのかを明らかにすることが、本研究計画の当初の目的であった。ところが、タンザニアにおけるバオバブ油をめぐる状況は、昨年7月を境に一変した。同月8日に、食品および医薬品の規制を担当する政府機関が、バオバブ油には発がん性物質が含まれているとの声明を発表したからである。その後、バオバブ油の人体への安全性に関する論争が新聞等メディア上で繰り広げられたが、結果として、バオバブ油への需要は急速にしぼむことになった。こうした状況の変化に伴い、本研究の重点も、政府声明がバオバブ油ビジネスに及ぼしたインパクトの把握に置かれることになった。 2. 研究方法 本年1月末から2月末にかけて、タンザニアのドドマ州で現地調査をおこなった。まず、ドドマ市内のバオバブ油の搾油所の操業実態、とくに昨年7月の政府声明発表以後の変化について調査をおこなった。また、搾油用にバオバブ果実を買い付けてきた農村住民に対しても、政府声明発表後の現状について聞き取り調査をおこなった。さらに、バオバブ油の安全性をめぐる議論をフォローするために、新聞記事などの資料収集をおこなった。 3. 研究成果 昨年7月の政府声明により、搾油業者をはじめバオバブ油に携わっていた人の多くが、このビジネスからの撤退を余儀なくされるなど、壊滅的な打撃を被っていたことが明らかになった。医薬品としてのバオバブ油という新たな需要の出現により、一度は地域資源としての新たな可能性を垣間見せたバオバブ林だが、昨年7月以降のバオバブ油に対する急速な需要縮小により、その地域資源としての可能性については一から模索し直す必要があるといえる。
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Report
(1 results)
Research Products
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