Project/Area Number |
25905008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
地理学・文化人類学・地域研究
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Research Institution | 千葉県県民交流・文化課 |
Principal Investigator |
神野 信 千葉県環境生活部県民交流・文化課, 副主幹
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2013: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 折衷的鍛冶技術 / 生計戦略における道具 / 民族集団間交流 |
Research Abstract |
ラオス北部では、直立した2本筒構造の複シリンダー送風機を用いた座位操業によるインドシナ半島系鍛冶技術と、横臥した長大な1本筒構造の単シリンダー送風機を用いた立居操業による中国(漢)系鍛冶技術が接している。そしてその接点において、短小な単シリンダー送風機を用いながら座位操業を行う折衷的な鍛冶技術が存在している。従来、この折衷的鍛冶技術は、小規模な装置・操業空間、多様な操業形態を見せることから、簡便なレベルの低い技術とみなされ、これまで顧みられることがなかった。しかし、本研究課題では、この技術は当該地域の鉄器文化形成の特徴を表しているものと積極的に評価した上で、その形成過程・背景を明らかにすることを目的に、折衷的鍛冶技術の分布範囲のウドムサイ県北部~ポンサリー県において、民族考古学的調査を実施した。 調査の結果、折衷的鍛冶技術には、①床上に低い段を設け、その上に鍛冶炉・送風機を設置するもの、②膝高の壇上に鍛冶炉を設置し、送風機を支柱で持ち上げるもの、③鍛冶炉・送風機を床上に設置するものの3形態があることが確認された。そして、これらの技術要素の組合せパターンとその分布、生計戦略・民族集団間交流等との関係により、それぞれの成立契機・背景を考察することが可能となった。①は漢文化から直接的に受容した技術が、生業の変化と流通鉄器の普及による鉄器生産体制の変化に対応したもの、②は漢系技術を受容しつつ伝統的操業形態に合わせて独自に消化・再構成したもの、③は①②の周辺で補完的な鉄器生産・機能維持を行うものとして成立している。その一方で、近年の社会・経済的均質化をもたらす変化に対して、鍛冶技術が同じ方向に変化しないことが確認された。このことは、生計戦略の重心位置のわずかな差異による道具の選択、その供給・流通形態、民族集団間の接触の歴史的経緯が技術構成の選択・形成を決定していることを示している。
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Report
(1 results)
Research Products
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