勤務校の農場ビニルハウス内に設置されたペレットストーブに使用できる燃料を、"おがくず"を利用して作成する体験的授業を行うことで、木質バイオマス由来のエネルギーの存在を意識させ、その学習効果を検証した。 勤務校森林科学科第3学年の専門科目である「課題研究」において、1、2学期間を"おがくず"燃料における長さの適性と水分量の適性について調査を行った。その結果、長さは3センチさが適正であった。次に、乾燥時に個体として残る成型率を調査した結果、おがくず : 水目1:1.25の水分量が適正であった。次に、この燃料を用いて燃焼性調査とストーブへの適性を、自作燃料と市販のペレットを使った燃焼比較試験を実施することで調査した。その結果、市販ペレットの燃焼性が良く、その違いは両者の密度の違いによると考察された。次に、研究のはじめと終わりに質問紙形式のアンケート調査と概念地図を描かせる時間を設け、木質バイオマスに関する生徒の意識の違いを調査した。その結果、エネルギーに関するキーワードの個数とキーワードの関連語句数が有意に増加した。このことより、生徒の木質バイオマスに対する意識が高まることで、より環境に対する認識を高める効果があったと考察できた。 エネルギーは、目に見えにくく、実感や納得を伴って理解することが困難であるが、この研究では、「体験→指摘→分析→概念化」の循環型体験学習理論を適用した。すなわち、「目標と課題の設定→燃料作成(体験)→様々な工夫(指摘)→課題解決(分析)→まとめる(概念化〉→燃料適性試験(体験)」のプロセスを経る指導を行い、循環的体験学習を実践した。その結果、"実感と納得を伴った理解"ができる教材づくりを実施し、学習効果を上げることができた。しかしながら、燃料性は市販ペレットと比較すると低く、密度を上げることが今後の課題として残った。
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