生涯学習社会と呼ばれる今日、多様な生涯学習活動が行なわれている。活動場所も様々であり、既存の公共施設では不足している地域も見受けられる。行政の限られた予算の中で地域住民の多様なニーズに応え、活動場所の整備を進めるためには、既存の学校施設の有効活用や改修によって施設そのものの価値を高め、学校を地域社会で共有していく必要がある。 本研究では、学校施設開放に対する住民のニーズを把握するため、三つの自治体の住民を対象にアンケート用紙を郵送にて2000通配布し、616通(30.8%)の有効回答を得た。なお、調査紙には個人情報の記載欄を設けないものとするとともに、調査趣旨等の文書を同封し、調査回答の返信をもって同意したものとした。 その結果、地域住民の身近な立地にある学校の体育館やグラウンド、図書室を利用したいという地域住民が多いことが明らかになった。また、学校は地域住民の生涯学習活動の場所として活用できる多くの施設や備品を備えていることから、対象地では開放していなかった音楽室等を利用したい地域住民も少なからず存在することが明らかになった。 一方、公共施設が充実している自治体では学校施設を利用する必要がないため、学校施設を開放することに対するニーズが低いことが明らかになった。 また、平日昼間に学校施設を地域に開放することについては学校教育への影響を懸念する声が多い中で、乳幼児や小学生の子どもを持つ母親に「平日昼間に学校施設を利用して趣味の活動を行いながら子どもたちが学校で学んでいる姿を見たい」といった理由から学校施設の開放を希望する意見が多いことが明らかになった。
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