A・センの権利論に基づいた価値判断能力育成のための小学校社会科授業研究
Project/Area Number |
25908001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
教科教育学Ⅰ(文科系)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
秋田 真 弘前大学, 教育学部附属小学校, 主幹教諭
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2013: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 価値判断 / ケイパビリティ / リベラリズム |
Research Abstract |
1 研究の目的 本研究は, 小学校社会科の価値判断場面において, A・センの潜在能力アプローチ(ケイパビリティ)に基づいた権利論を用いることで, 児童の公民的資質の育成をねらったものである。 2 研究の方法 小学校第5学年及び第6学年に対し, 功利と正義が対立する価値判断授業を行った。ここでの功利はベンサムにおける最大多数の最大幸福を意味し, 正義はロールズに代表されるリベラリズムの考え方を意味する。具体的には第5学年において我が国のTPP参加の是非を問う課題を扱った。また, 第6学年においては, 公民分野での基本的人権の観点から社会的に弱い立場にある人にどのような手立てが必要かを考えさせる課題等に取り組んだ。その際, ケイパビリティの考え方より, 公的機関の手の差し伸べ方について考えさせた。そして, 言語活動において児童から表出された記述等を基に分析を行った。 3 研究の成果と課題 成果としては, ケイパビリティを勘案して考えさせることで, 児童自身の力では想像しがたいリベラリズムにおける正義の立場を勘案し判断する能力が育ったことである。実際, 功利を優先しがちな児童であったが, 功利を考慮しつつも正義を実現していこうとする姿が言語活動から表出された結果から得られた。 課題としては, 児童が公的論争問題の少数の立場に対して自分事として捉えていない様子が, 理由の記述から伺える。例えば, 社会的に弱い立場にある人に安易に我慢を求めたり, 日本の農産物は安全・安心だから海外でも売れるという理由を述べたりしている記述が散見された。今後は, より自分事として捉えるような題材や素材を用い, 授業を行っていく必要がある。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)