Research Abstract |
○研究の目的 ESDの視点を用いて, 日本での授業実践および中国での古典学習調査・アンケートを行い, 日中双方の生徒の世界認識を広げる学習内容の開発を行う。 ○計画・方法 1,4月~7月生徒(広島大学附属中・高校)を取り巻く世界が持続可能であるために有効であると考える教材を発見させる。 日本人と中国人が古典を通じて相互理解するとしたら, どのような古典がふさわしいか考えさせる。 2,8月上記と同様の課題を中国人生徒(成都市綿陽実験高中)に考えさせる。 3,10月~3月日本・中国での授業・アンケート資料を基に, 日中生徒の意識・実態の比較を行い, 双方の生徒の世界認識を広げる学習内容の開発を行う。 ○研究の実際と成果 1について, 『荘子』「渾沌」と環境問題の関連を指摘した。『論語』「子貢問政。子曰, 足食, 足兵, 民信之矣。~」(顔淵第十二)から「兵」をまず去ったことの意味を, 現代的視点から解釈した。 2について, 四川省の綿陽実験高中の教師2名と生徒10名(13歳~18歳)の協力を得ることができた。13項目に及ぶアンケートをおこなった。その中で大きな項目は上記の2点である。ESDの視点から挙げたテクストとして『老子』「清静無為」, 『水経注』があり, 「天人合一」, 「老子的道家思想」のような道家思想を挙げた生徒も多くいた。相互理解のためのテクストとして, 『史記』, 李白, 『三国演義』, 『聊齋志異』, 『西遊記』, 『水潜伝』, 『天工開物』, 『本草綱目』を挙げた。 3について, 綿陽実験高中の教師が挙げたのは『論語』「莫春者、春服既成, ~」(先進第十一)であった。日本では教科書に掲載されていないが, わたしも以前からESDの視点から注目していた。共通の注目テクストであったので, 中国人教師に授業方法とその実践を報告していただくことを依頼した。同じテクストでの日中の授業のあり方と生徒の反応を検証することで, 本研究の目的に繋がるものと考える。
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