○研究目的 保健科教育におけるメンタルヘルスプログラムを開発し、そのプログラムの有効性を量的・質的に分析することを目的とする。 ○研究方法 (1)対象沖縄県内のA高等学校(偏差値約35)の1年生、2年生211名を解析対象とした。(2)調査期間事前テスト平成25年11月12日~21日、事後テスト2月19日~2月27口介入期間事前テスト1週間後~事後テスト1週間前(8時間)。(3)メンタルヘルスプログラム第一時心身相関脳の三重構造発想によるホルモンの分泌第二時自己実現星野氏の事例第三時難病と闘い夢を実現した少女遺伝子(エピジェネティクス)第四時人間の悩みと人間関係の原理第五時自己理解(エゴグラム)第六時自尊感情(良い所さがし、短所を長所に変える、心からの贈り物)第七時認知を変える(考え方と病気、うつ病)第八時ストレスと発散法(行動療法)(4)調査内容と手続き①自尊感情尺度(ローゼンバーグ)4件法(1~4)。②お茶大式メンタルヘルス尺度5件法(1~5)。③日常ストレス対処行動尺度(辻ら)4件法(1~4)。④中学生用コーピング測定尺度(三浦)4件法(1~4)。⑤授業に対する主観的評価(5件法と自由記述)。(5)介入群104名とコントロール群107名に分けた。一方は開発したメンタルヘルスプログラムを実施し、一方は講義形式の通常の心の健康のプログラムとした。(6)分析方法と評価繰り返しのある2元配置分散分析により介入クラスの教育効果を評価した。 ○研究成果 自尊感情尺度、お茶大式メンタルヘルス尺度、日常ストレス対処行動尺度(問題へ対応、自己統制の対応、外的資源の活用対応、積極的気分転換の対応、陰性感情発散の対応)、中学生用コーピング測定尺度(積極的対処、サポート希求、逃避・回避的対処)とも交互作用が有意でなかった。しかし、自尊感情においてコントロール群は0.3ポイント下がったにも関わらず、介入群は、0.7ポイント上がった。統計的な有意さが生じなかったが、僅かな効果が見て取れた。メンタルヘルスにおいて、両群とも上昇したが、介入群の上昇幅が低かった(上昇は課題を抱えている)。高校1年、2年の年度後半について、生徒が心の課題を抱えていることが分かる。また、介入プログラムで僅かばかりの対処法を身に付けたことが分かる。日常ストレス対処(問題への対応)において、群間で5%水準での主効果があった。日常ストレス対処(積極的気分転換の対応)において、群間で10%水準での主効果があった。
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