Research Abstract |
本研究は, タブレット端末, 「電子黒板」などのICT機器を活用し, 体育科におけるICTの活用による継続的評価の開発とその有効性を検証することを試みた。これまでの研究成果において, ICT機器の活用により, 自己の動きを即時的に映像からとらえ, 次なる自分を思い描き, 自分の学び・動きを保持・修正していく姿力確認できた。さらに, この動きの映像と自己の変化への気づきの音声言語を蓄積していき, 過去の姿と現在の姿を比較していくこと(「動き」のポートフォリオ評価)が, 自分の学び・動きの保持・修正に有効に働き運動に対する意欲向上に貢献できるのか, 特に, ボール運動, マット運動において授業実践をおこない, 子どもたちの技能の変容と意識の変容の分析を通じてその有効性を検証した。 ICT機器を活用した学習において, 毎授業後におこなった形成的評価からは, 子どもたち一人ひとりが, 自分のめあてを持って, 自主的に本学習にとりくんだことがみてとれた。それは, 学年の後半になるにつれて顕著な結果となってあらわれた。ICT機器の操作に慣れたということのみならず, 「動き」をポートフォリオ化していくことの有用性を子ども達自身が感じることができた結果といえよう。ボール運動, マット運動の技術習得のポイントを4つに絞り, それぞれのスモールステップを設け, その習得率を調査した結果, すべてのポイントにおいて, 学習前後で習得率の向上を確認することができた。特に, ボール運動におけるボールをもたない時の動きについて顕著な伸びが確認できた。 授業前に設定する子どもたちのめあてをみると, 技能面、思考面ともに, より具体的なめあてを立てられることが多くなっていった。タブレット端末の持つ, すぐに繰り返し再生できることやスローで再生できることといった即時性, 再現性が多いに寄与している。技能的に下位にいる子どもたちのみならず, 技能的に上位にいる子どもたちも自己の動きを分析して, より高い、具体的なめあての設定が多く見られた。 また, 音声言語を蓄積していく上で, タブレット端末や電子黒板から流れる映像を媒介に, 実に多くのコミュニケーション活動が展開されていた。 平成25年度大阪教育大学池田地区研究発表会, 関西体育授業研究会においてその成果を発表した。
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