Research Abstract |
本研究では、教科教育学研究としての音楽科授業研究において, 「子どもが音楽的体験を契機にして学ぶこと」に焦点を当て, 授業の中で鳴った「音・音楽」とその音・音楽に触れたことで生成された教室談話の分析から, 子どもたちが音楽的体験を契機にどのような思考過程を巡り、どのような学びを得るのかを明らかにし, 音楽科の学びの特質をOECDのキーコンピテンシーに照らし合わせて再検討しようとするものであった。グループワークを設定した授業の中では, 授業の「導入」における子どもたちの音楽的体験の質と談話のテーマ・内容が関わり合っていた。授業の導入の「音楽的体験」の質によってその後のグループワークの談話のテーマが概ね「手段と順序」「評価」「音楽の理解」にカテゴリー化された。 授業の本質である「音楽の理解」に子どもたちだけの力で到達するにも導入の「音の聴かせ方」によることが明らかになり, 質の高い「音楽的体験」が, 積極的な教室談話につながり, そこから子どもが得た音楽の学びは, キーコンピテンシーを育てる学びになっていると考えられた。
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