Research Abstract |
本研究では、多読指導の実践を通し、学習者の英語力レベルと多読用図書の英文レベルの調整をするための基礎研究として、多読用図書の英文レベルに関する調査研究を行い、その関係を明らかにしようとした。 研究の方法としては、読みやすさ, 理解度, 面白さという主観的観点の調査に加えて、客観的指標として、各多読用図書の総語数、異語数、カバー率、アメリカで広く採用されている読みやすさのレベルを示すリーダビリティースコアを算出した。リーダビリティースコアは、Micro Power & Light Corporationが出しているリーダビリティ・ソフトウェアを使って算出した。実際に使用したリーダビリティースコアはSpache Formula, FORCAST Formula, SMOG Formula, Powers-Summer-Kearl Formula, FOG Formula, Flesch-Kincaid Formula, Flesch Reading Ease Formulaの7つである。多読用図書はOxford Reading TreeシリーズのStage1~9を使用し、Stage1~4をBR (Basic Reading) 1、5~9をBR2のグループに分けて調査を行った。 BR1では、ステージが上がるにつれ語数が増えてくると生徒が感じる面白さが高まっていく傾向があり、BR2はある程度語数が増えて内容が充実してくると、ストーリーの長さが面白さに影響を与えることは少なくなり、本の内容やジャンル、学習者の趣味・嗜好などによって面白さの程度が変わってくることがわかった。また、カバー率が95%に及んでいなくても絵本の場合は絵を見て理解していることが判明した。 面白さ、理解度、読みやすさの3点に焦点を当て、これらと関連がある指標はどれかを観察した。相関が0.70以上のものをみると、BR1では、異語数とFOG、SMOGが3つの指標どれとも相関が高い結果になった。BR2では、面白さ、理解度、読みやすさのすべてと相関の高かった指標がないことが明らかになった。
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