Research Abstract |
本研究の目的は, 学習者自身が問題を作成し, 解答も行うという授業方法を通して, 学習者自身によって作成された問題をデータベース化することで, 「場面解決型問題」を用いた授業方法の普及への足掛かりを得ることである。 場面解決型問題とは, 理科で学習した内容を単に問うものではなく, 学習した内容を発揮できるような状況場面を設定し, それを解決していくための方法を答えるオープンエンド形式のものである。これまでに, 学習者が場面解決型問題を作問し, 学習者相互によって問題を解くという授業を方法には一定の効果があること, 中学校理科第一分野の力学単元および中学校理科第二分野の地学領域において, 学習者の思考内容や思考力・表現力としての評価の可能性につながることが示されている。これらのことから, 「場面解決型問題」の授業方法を提供し普及していくことは, 理科授業に大いに貢献すると考えられる。 本研究成果として, これまでの研究により作成された場面解決型問題(力学単元で34問, 地学領域で33問)について, テキストデータおよび図版データのデジタル化を行った。このデジタル化によって, 作成された問題を例題として提供していくことも可能となった。また, 場面解決型問題を取り入れた作問の授業方法の提供や普及のために, 力学単元の問題データベースおよび授業展開方法に関して論文としてまとめた。今回の研究成果は, 場面解決型問題を実施するにあたり, 学習者作成の問題例として提示することも可能となり, 場面解決型問題の授業方法の普及の足がかかりとなることに貢献するものと考えられる。
|