自作太陽分光器の近赤外対応とそのスペクトロヘリオグラムによる太陽大気の研究
Project/Area Number |
25914001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物理学
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Research Institution | 埼玉県立浦和西高等学校 |
Principal Investigator |
坂江 隆志 埼玉県立浦和西高等学校, 教諭
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 太陽 / 分光 / ヘリウム |
Research Abstract |
2011年度より行ってきた自作分光器による太陽観測では、Hα線やCaK線によるスペクトロヘリオグラムの取得が可能となった。さらに観測波長を増やして太陽大気の構造を立体的にとらえる目的で、今回はヘリウム線1083.0㎚での観測に取り組んだ。ヘリウムは太陽上空にある100万度のコロナが発するX線により励起されることからコロナの状況をよく反映し、コロナホールやX線輝点といったコロナ特有の現象が観測できる。これらを捉えるために、自作分光器の回折格子を近赤外用に交換し、京都大学飛騨天文台所有のInGaAs赤外カメラを借用して観測を行ったところ、科学的解析に十分応用可能なデータを得ることができ、コロナホールやX線輝点も捉えることができた。しかし、この赤外カメラは非常に高価であり大学の研究室やアマチュアが手に入れることは困難である。そこで、可視光観測で用いているより安価な冷却CCDカメラでの観測を試みた。このカメラでは波長1000㎚付近での量子効率は1%程度しかなく感度ムラも著しいが、ダーク、フラット処理を行い、さらに撮像枚数を多くして加算平均することでS/Nを上げた結果、鮮明とは言えないがHe I 1083.0㎚のヘリオグラムの取得に成功した。しかし、コロナホール、X線輝点はノイズに埋もれて確認することはできなかった。本分光器ではこの近赤外域における迷光比率がかなり高く、S/Nを悪化させる原因となっていることから、プレフィルターの挿入、分光器内部の迷光防止加工等が必要と考えている。 現在、日本国内で定常的にHe I 1083.0㎚の観測を行っているのは国立天文台太陽観測所のみであり、このような小型分光器による観測が低コストで行えることは、教育機関等における太陽観測の充実という点で期待できる。また、今後赤外カメラの価格が下がれば、さらに高精度な観測も可能となる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)