Research Abstract |
植物育成用LEDにより栽培した希少, 高価な山菜類の機能性含有成分(ファイトケミカル成分)を分析し、露地物との含有量の差異を評価することを目的とし、滋養強壮に優れるが市場に出回ることが少ないギョウジャニンニク、山の春を告げるウルイ、薬用効果も知られるツリガネニンジンに含まれる機能性ビタミン(トコフェロールなど)や抗酸化性ポリフェノール類、植物ステロール類の分析を試みた。実験に用いた山菜類は栽培施設のある新潟県阿賀町産を用い、20~25℃、湿度60~80%に管理したハウス内で行ない、植物用LEDとして昭和電工製直管型LED (L=1200mm, HRP-350F、赤660nm、青450nm、赤青比3:1)を用い、葉面での光量160μmoL/m2, sec、18時間/day照射の条件下で栽培した。分析は4~6月に露地物を収穫し各種分析を行い、LED栽培は秋に収穫した根茎(根株)を野外低温処理後、1~3月に栽培ハウスに持ち込み、発芽育成した物を用いた。 結果の一例として、行者ニンニクについてはビタミンA前駆体のβカロテンが豊富(2,000μg/100g)なことが知られているが、本条件でのLED栽培についてはODSカラムによるHPLC分析により露地物より若干低い1,500~1,800μg/100gの値が得られた。しかしながら食味的には露地物に比べLED照射の方が柔らかく試食の評価は良好であったので今後、カロテンなどの含有量の向上を図るべく、温度や湿度, 照射時間などの環境制御効果についても検討を行なう予定である。また、まだ分析の終わっていない植物ステロール類分析などを進めるとともに、LEDの照射強度、時間による成分量の変化、などについても検討を進める。
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