Project/Area Number |
25915013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
化学
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Research Institution | 兵庫県警科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
下田 修 兵庫県警察本部刑事部科学捜査研究所, 警察研究職員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 昇華染料 / ポリシアノアクリレート / DNA鑑定 |
Research Abstract |
【研究目的】簡便な蛍光ガス化法を確立するため、次の3点を検討した. ①指紋検出試料(検体)からの様々なバックグラウンド蛍光をさけるために、幅広い吸収領域を持つキノン系試薬を検討し、415㎚~575㎚励起光による蛍光観察が行える新たな蛍光試薬を選択した、②様々な熱源を用い、効率よくガス化させることのできる方法を検討した、③試薬の蛍光観察に適した簡易な青色、青緑色LED光源の開発や、様々な大きさの検体に対応できる簡易なヒューミングボックスを作成し、パフォーマンス性を高めた. 上述の改良により、簡便な蛍光ガス化指紋検出法が構築され、限られた場所でしかできなかった蛍光ガス化法がAC電源のない屋外でも可能となった. 【研究計画及び結果】空き缶、切符、瓶ガラス等の検体に、指紋を押なつ後、一昼夜乾燥させたものを検体とした. ①昇華染料の中で、皮脂成分等に溶解し、蛍光を発するポリエステル用分散染料のキノン系染料に着目し、赤色黄色の2種類の染料を選定した. 分光測光より、赤色は500㎚に吸収極大をもち、415~575㎚の幅広い励起領域を、黄色は460㎚に吸収極大をもち、380~500㎚の励起領域をもつことから、検体由来のバックグラウンド蛍光を避けるべく、赤色、黄色の試薬の使い分けができるようになった. さらに、上記染料とシアノポリマーの最適な配合比を検討し、同時にガス化させることで、赤色、黄色指紋検出用ガス化試薬として開発できた. ②各種ヒーター類、線香等を検討した結果、生石灰と水との反応熱を利用したアースレッドを使用することで、上記染料とシアノポリマーを完全にガス化させることが可能となった。 ③LED光源とフィルタ、カメラとの組み合わせにより、上記赤色、黄色試薬ガス化検体から鮮明な蛍光指紋を得ることが可能となった。また、指紋隆線がつぶれるなどの蛍光指痕については、励起観察しながら的確にヒト由来のものを完全に採取することも可能となり、非接触であるため、後のDNA鑑定が行えることも確認できた. 本法は、通常のシアノ指紋処理より優れており、一回の処理で蛍光シアノ指紋の観察が可能であり、さらに、非接触であるため、蛍光指紋からのDNA鑑定も行える画期的な手法として、実務性が高いと考えられる.
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