Research Abstract |
本研究では, 大型BSアンテナによる電波望遠鏡を組み立てて, 主に月面からの放射電波をとらえるとともに, 高校天文部で実施可能な電波観測のノウハウをまとめることを目的として活動を行った. 筆者がこれまで使用していたアンテナの口径は50cmであった. これだと月の放射電波をとらえるのは十分に可能であるが, S/Nが悪く精密なデータが得られにくかった, そこで今回の研究で直径75cmのBSアンテナを入手し, これを用いて電波望遠鏡を組み上げることにした. 勤務校で筆者が指導している地学部員とともに75cmのアンテナを架台にすえつけて観測することを試みたが, アンテナの重量が当初の想定よりもかなり重かったことから, 架台への安定した設置と対象天体の正確な追尾をするところまでには達しなかった. アンテナが対象天体に向けばこれまでよりかなりよいデータが得られるのだが, 架台への安定した設置と正確な追尾観測については, 継続して取り組む予定である. 月以外には, 太陽にアンテナを向けてフレアを電波で観測することができ, フレアによる放射エネルギーの増加量を見積もることができた. もうひとつのテーマであった電波観測の方法をまとめて発表していくことについては, GHOU 2013 conference (8月, ギリシャ・ボロス), 天文教育研究会(8月, 山口市)および千葉県高等学校教育研究会理科部会(11月, 松戸市)で筆者が口頭で講演するともに, 指導している地学部員も. 科学教育振興展覧会(10月, さいたま市), 益川塾シンポジウム・高校生セッション(12月, 千代田区), 理科教育研究発表会(2月, さいたま市), 日本天文学会春季年会・ジュニアセッション(3月, 三鷹市)で発表してきた. 多くの機会を有効に活用し, BSアンテナによる電波観測を紹介することができた. 引き続き, 一連の研究内容や観測方法をウェブで公開できるようにするなど, 成果をまとめていく予定である.
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