Research Abstract |
研究目的 相手歯車を金属としたプラスチックねじ歯車の歯面温度上昇は, 金属の高い熱伝導性によりプラスチック同士の組み合わせのねじ歯車に比べて小さくなる. そのため, プラスチック同士の組合せのねじ歯車に比べて, 高寿命になると期待できる. これは, プラスチックと金属の利点を共に生かした実用性の高いねじ歯車である. 本研究では, 相手歯車を金属としたプラスチックねじ歯車に対して耐久試験を行い, プラスチック同士の組み合わせのねじ歯車と比較した場合の負荷能力向上の度合いを実験的に示す. さらに, 相手歯車を金属としたプラスチックねじ歯車(無潤滑条件)の寿命推定法を明らかにする. 研究成果 プラスチック歯車は自己潤滑性を有するため, 無潤滑での使用が可能である. しかし, 接触条件が過酷なねじ歯車では, 無潤滑条件のプラスチック歯車同士の組合せの場合は摩耗が急速に進行してしまい, 寿命は非常に短くなる. このプラスチック同士の組合せにグリースを塗布すると損傷形態は折損となり, 寿命は非常に長くなる。これは, グリース塗布による温度上昇量の低下と摩耗量の著しい減少によるものである。本研究で行った相手歯車を金属としたプラスチックねじ歯車では, 金属の高い熱伝導性によるプラスチック歯車の温度上昇量の低下と, 異種材の組み合わせに起因する摩耗量の減少により, 無潤滑でも高い負荷容量を示した, 許容可能な負荷トルクは, グリース潤滑のプラスチック同士の組合せのねじ歯車と同程度である. したがって, グリースが使えない状況で, プラスチックねじ歯車の寿命を延ばすには, 相手歯車を金属とすることが有効である. また, この歯車にグリースを塗布すれば, さらなる長寿命化が期待できる. 寿命推定法としては, 損傷形態が折損で同一であるプラスチックねじ歯車と同様の方法(日本設計工学会にて論文掲載済み)が適用できることを明らかにした.
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