Research Abstract |
微量かつ微小なミスト付加による伝熱促進の概念の有効性を明らかにするため, 後向きステップ流れの実験装置を使用して, 伝熱特性の測定・評価を行った. その結果, レイノルズ数が増加すると, また熱流束が減少すると, 主流方向に沿った熱伝達率は増加することがわかった. また, ミストを付加しない場合と比較して, 大きな伝熱促進効果を得ることができた. 例えば, 低壁面熱流束の場合、最大ヌセルト数で約2.6~3倍, 再循環領域の平均ヌセルト数で約2倍の伝熱促進効果が得られた, 以上より, 微量かつ微小なミストを付加することによる伝熱促進の概念の有効性を明らかにした. さらに, 新たに小型の装置を製作してミスト量による影響の測定・評価等を行った. ミスト蒸発に関わる理論解析を行い, ミストの蒸発位置はミスト粒径, 周囲温度, 相対湿度に依存することを確認した. また, 流路内の空間温度分布を測定して, ミストの蒸発により空間温度が低下することを確認した. さらに, ミスト量を増加させると主流方向に沿って熱伝達率が増加し, 大きな伝熱促進効果が得られることがわかった. 例えば, ミスト投入量が6.83×10^<-6>㎏/sのとき, ミストを付加しない場合と比較して, 最大ヌセルト数で約1.6倍, 再循環領域の平均ヌセルト数で約1.5倍の伝熱促進効果が得られた. 以上の研究成果は, 特に濡れを嫌う電子機器等に有効であり, 伝熱促進技術の発展に寄与する意義深いものであると考える.
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