Research Abstract |
【研究目的】 本研究は, Web上での画像変換技術のひとつである「統計的信号処理技術による色合い変換法」を用い, 法科学的に推定が困難と考えられていた『実際のものと色合いが異なる画像上の物質の色合いを推定する手法』について検討を行った. 【研究結果】 色合いが変化した画像の画素ベクトルyは, 実際の色合いを表した画像の画素ベクトルxが線形行列Aによって変換したものと仮定し, Aの逆行列を求めることで画素ベクトルxの推定を行った. なお, 各画素ベクトルの確率密度関数はガウス性を有していると仮定し, Aの逆行列の推定はPCAを用いて行った. ①白熱球, 水銀灯, 蛍光灯, ナトリウムランプ光源下で認められる単色の物質についてデジタルカメラ, 防犯ビデオによる撮影を行い色推定を行った. 画像によって色合いの精度に違いはあるものの, 対象とする物質の色合いを再現することが可能であり, このような照明下で撮影された物体の色合い推定は可能と判断された. ②デジタルカメラに付属されているフィルタリング機能(強制的に色合いを変換する機能)を用いて撮影された単色物質を撮影した画像について検討を行ったところ, 大半の画像について実際の物質の色合いに変換することが可能であった. しかし, フィルタと同色系のものについては, 白色に変換されることが多く, 全ての物質画像に対し, 色合い推定が可能とは言い切れなかった. 本提案法は, 照明下における推定は十分可能であり, 特殊フィルタを用いて撮影した画像についても条件付きではあるが有効な結果が得られた. これより, 本提案法を用いることで色合いの推定はある程度可能と考えられ, 改善は必要であるが犯罪捜査において実用可能な手法と推定される.
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