Research Abstract |
本研究では多摩川中流において、特定外来生物のオオキンケイギク及び希少種のカワラノギクが生育している礫河原において両種の生育状況を把握した。具体的には、対象種が生育している地点に1m方形区を敷設し方形区内の植物種及び各植物の被度、全体の植被率を記録した。加えて対象植物については乾燥重量を測定した。また、河床材料を把握するため写真撮影法により河床材料の代表粒径(D25, D50, D75)を算出するとともに、土壌を採取し、直径2mm以下の代表粒径(D50)、含水率、全窒素(TN)、全炭素(TC)の測定を行った。得られたデータからGLMモデルを用いて、両種の生育立地特性を検討した。 モデル選択では非説明変数に各方形区の両種の生育の有無または乾燥重量を設定し、説明変数として河床材料や土壌のパラメータを設定した。モデル選択では赤池情報統計量(AIC)にて評価を行った。その結果、オオキンケイギクとカワラノギクの生育立地条件を比較すると、カワラノギクの生育地は、河床材料のD50とD75及びD25-D75の範囲に違いが見られ、それ以外のパラメータではオオキンケイギクと類似していた。 多摩川では現在のところ、カワラノギクの生育地にオオキンケイギクは侵入していない。しかし、中流域では既に生育地が点在しており、今後両種が競合する恐れがあることが示唆された。 オガキンケイギクは多年生草本のため、一度、河川敷に侵入し定着してしまうと徐々にコロニーが拡大し、防除するのが困難な状況が予測される。侵入初期段階での人為的な選択除草が効果的な防除方法のため、カワラノギクの生育地のみならず、既にオオキンケイギクが侵入している下流区間においても駆除対策が強く求められる。
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