Research Abstract |
放牧地の有限の土地生産力(草現存量、草質)を高度に活用するためには、簡易にかつ高頻度に現地をモニタリングする必要がある。放牧地の管理のための草量、草質分布図作成を考えた場合、高精度でかつ低労力で現地測定を実行する方法が求められるが、その分布図を簡易に作成するためには、生育時期や放牧方法の違い等による放牧地の草量及び草質のばらつきについての理解が必要となる。 これらの問題を解決するため、本研究では、UAV (Unmanned aerial vehicle)の高解像度画像を利用して, リアルタイムな草地生態系の資源環境を提供可能な低高度RS (Remote Sensing)技術の開発を目的として, 広大農場に位置する放牧試験場(面積3ha)を対象に、2013年の放牧期間に計6回、地上調査とラジコン飛行機による空撮を行った。 2013年の6時期(4/28, 5/14, 6/28, 7/17, 8/29, 9/10)に取得した可視と近赤外の空撮画像を用いて, 植物の地上バイオマスと関係のあるNDVI (Normalized Difference Vegetation Index、正規化植生指数)を計算した。 その結果, 放牧前後の牧草の空間的な生育状況には, 空間的に大きな変動が認められた。 簡便かつ必要な時期にリアルタイムな草地診断情報を取得可能なUAVを用いることで、よりきめ細かい草地管理による飼料・家畜生産の向上につながる。他方、過剰な肥料散布を低減することで、環境への影響を最小限にすることも可能になると期待される。さらに空撮用ラジコンヘリを利用した観測技術は、人工草地に限らず、他の水田や畑の精密な管理にも応用が可能であり、特に、近年の中山間地域に多く散見する耕作放棄地の問題解決にも大きく貢献するものと考えられる。
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