Research Abstract |
【研究目的】アセトアミノフェン(APAP)は癌性疼痛のWHO3段階除痛ラダーで全ての段階を通じ使用すべき薬剤の一つとして位置付けられた非オピオイド性鎮痛薬であり、2011年1月に1回1,000㎎、1日4,000㎎まで用量拡大されたことで疼痛緩和における存在意義が見直されつつある。しかし半減期が約2.5時間であり頻回の服用が必要である上、錠剤は大きく、原末は苦味を有しかつ水に溶けにくい。これらの条件は頻回の高用量APAP服用に大きな負担であると考えられる。そこで高用量APAPの簡便かつ快適な服用を目標として10% w/v APAP懸濁液作成方法の検討を行った。 【研究方法】APAP原末及び懸濁化剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、矯味剤としてスクラロース、サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム、及び食品用香料を用いた。用手振盪による再分散が可能なCMC-Na濃度及び服用時に矯味が得られる矯味剤及び香料の濃度を検討した。 【研究成果】家庭用ミキサーを用い2%CMC-Na溶液を予製後、APAPを10g/100mL加え投薬瓶内で用手振盪することによりAPAP懸濁液の調製及び服用時用手振盪での再分散が可能であった。また、スクラロースは0.8% w/v、サッカリンナトリウム及びアセスルファムカリウムは1.0%w/v以上の添加により良好な矯味、甘味が得られた。スクラロース以外の甘味料は後味に苦味を有するが1% v/v程度のグレープフルーツもしくは紅茶フレーバー、0.1%w/v程度の1-メントール添加により軽減が可能であった。これらの方法は特殊な器具や薬剤が不要、かつ病院、薬局を問わず実践可能であり、APAP服用に苦痛を伴っている患者の全人的苦痛緩和に寄与できると考える。
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