ドセタキセル耐性ヒト前立腺癌細胞におけるサリドマイドの抗腫瘍効果と作用メカニズム
Project/Area Number |
25926010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅰ
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
玉木 宏樹 島根大学, 医学部附属病院・薬剤部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | サリドマイド / 前立腺癌 / 抗腫瘍効果 |
Research Abstract |
【研究目的】去勢抵抗性前立腺癌(Castration-resistant prostate cancer : CRPC)の標準治療としてドセタキセル(DTX)が使用されるが、徐々に耐性を示し予後不良となる。当院では、DTX耐性CRPCに対し、DTXにサリドマイド(Tha)を併用することで再び前立腺特異抗原の低下を認めた症例を経験している。しかしながら、Tha単剤での抗腫瘍効果は多発性骨髄腫など一部の造血器腫瘍に限られており固形癌における有用性を示した報告はない。そこで、ThaのBiochemical modulator、即ち、併用する抗癌剤の薬理学的動態を変化させ抗腫瘍効果を増強する薬剤としての作用に着目し、抗癌剤の細胞外排出機構ならびに耐性化に関与するとされている多剤耐性遺伝子1 (MDR1)、多剤耐性関連タンパク遺伝子(MRPs)などのABCタンパク質遺伝子の発現に及ぼすThaの影響をヒト前立腺癌細胞を用いたin-vitro実験により検討した。 【研究方法】ヒト前立腺癌細胞としてアンドロゲン非依存性細胞株(PC-3)を用いた。PC-3は常法に従い継代培養し実験に用いた。Tha単剤、DTX単剤あるいはTha/DTX併用曝露によるMDRI mRNAの発現量の変化をReal-time RT-PCR法を用いて解析した。 【研究成果】我々は既にPC-3を用いた曝露実験において、Tha単剤では抗腫瘍効果がほとんど認められないにも関らず、Tha/DTX併用においてはDTX単剤と比較して抗腫瘍効果が増強することを報告している。本研究において、Tha単剤、DTX単剤あるいはTha/DTX併用曝露によるMDRI mRNA発現量の変化を解析した結果、DTX単剤曝露によるMDRI mRNA発現量は未処理群と比較して1.8倍増加した。この発現量の増加はThaの併用により5.6%低下するものの、未処理群における発現量までの低下は認めなかった。これらの結果より、Tha/DTX併用による抗腫瘍効果の増強とMDR1 mRNA発現量との関連性は認められず、併用による増強効果には、他のトランスポーターの関与あるいはトランスポーター以外の機序の存在が示唆された。今後はMRP1などの他のトランスポーターの関与ならびに癌細胞の細胞死に関連している内因性アポトーシスへの関与についても検討を行う予定である。
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Report
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Research Products
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