Research Abstract |
抗菌薬はPK-PDに基づきAUC/MIC, Cmax/MIC, time above MICのPK-PDパラメータにより投与量, 投与間隔を決定することが推奨されている。MRSA感染症治療薬であるテイコプラニン(TEIC)は, AUCとその除菌効果との関係性を示すいくつかの報告はあるものの, 何れもMICが測定されておらず, TEICの最適なPK-PDパラメータは不明であった。そこで今回, マウスを用いて, TEICが相関するPK-PDパラメータを明らかにした。 Ddy系雄性マウス大腿部にMRSAを感染させた後, 様々な用量と投与間隔でTEICを投与した。感染24時間後にマウス大腿部を採取し, 生菌数を計測した。TEICの血中濃度測定は, FPIA法を用い, PKパラメータは1 compartment modelを用いて算出した。また, PK-PDパラメータの算出には, Sigmoid Emax modelを用いた。 TEICの分布容積、消失速度, 半減期, 全身クリアランス、タンパク結合率の平均値はそれぞれ0.149L/kg, 0.199h^<-1>, 3.52h, 0.03L/h/kg, 92%であった。TEICのMRSAに対するMICは1.5mg/Lであった。PK-PD解析より, TEICの細菌学的効果はfree (f) time above MIC (R^2=0.769)と比べ, fCmax/MIC (R^2=0.935)およびfAUC/MIC (R^2=0.924)に良好な相関を示した。静菌効果を示すfCmax/MICとfAUC/MICはそれぞれ4.4, 30.2であった。殺菌効果を示すfCmax/MICとfAUC/MICはそれぞれ15.2, 69.9であった。以上のPK-PD解析の結果は, MRSA感染症に対してTEICを投与する際の有効な指標になるものと考えられた。従って, 本研究より, TEICはMRSA感染症に対してfCmax/MICまたはfAUC/MICに基づいて投与設計することが臨床上, 大変有用であると考えられた。
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