Project/Area Number |
25928010
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅲ
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊地 正史 東北大学, 病院, 薬剤師
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
|
Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
|
Keywords | 抗ガン剤の混合調製 / 薬剤師教育 / 抗がん剤調製支援システム |
Research Abstract |
【目的】抗がん剤の混合調製には、正確性と安全性が求められ、薬剤毎に異なる手順などを十分に把握し、また陰圧操作を含む様々な調製技術が必要となる。しかしながら、標準化された教育プログラムはなく、調製技術を客観的に評価することも難しい。そこで今回、抗がん剤調製支援システム(MPSS.,三田理化工業株式会社)を用い、混合調製をシミュレーションしながら、調製手順の習得と調製技術を客観的に評価する抗がん剤模擬調製実技講習プログラムを考案した。 【方法】MPSSは、モニターに調製手順を表示する機能、電子天秤による計量鑑査および計量記録の印字機能を有する。また、液の飛散の可視化を目的として模擬薬にフルオレセインナトリウム(FL)を一定量添加し、調製操作を行った。受講者は当院での抗がん剤の混合調製未経験の薬剤師、指導者は当院で1年以上の抗がん剤の混合調製経験を有する薬剤師とした。講習は約2時間のプログラムとし、受講者2名に対し、指導者1名の体制で行った。講習では、はじめにMPSSの使用方法を説明し、MPSSを用いてベバシズマブ注、ゲムシタビン注、シタラビン注の模擬薬の混合調製を行った(1回目)。次いで、改善すべき点等を指導者と話し合った後に、再度同様の手順で模擬薬の混合調製を行った(2回目)。講習の効果を評価するため、1回目と2回目に指導者より指摘された問題点の数、調製時間、調製誤差およびFLの飛散箇所数のそれぞれの平均値を比較した。また、講習前後に受講者にアンケート調査を実施し、抗がん剤調製に関する知識と技術、並びに講習の満足度について5段階で評価した。 【結果・考察】10名の薬剤師が講習を受講した。調製上の問題点の数および調製時間の平均値は、1回目4.9点、2回目1.0点、および1回目32.7分、2回目26.3分であり、どちらも有意に改善した(ρ〈0.01)。また、調製誤差およびFLの飛散箇所数の平均値は、それぞれ1回目9.19%、2回目8.40%、および1回目2.4箇所、2回目1.3箇所であり、どちらも改善する傾向が認められた。さらに、受講者の満足度の平均値は4.9であり、調製手順、調製上の注意点に関する知識、被曝を防止する調製技術および正確に計量する技術の全ての項目において、受講後に有意に向上していた(ρ<0.01)。以上の結果より、本講習は抗がん剤の混合調製に必要な知識と技術の効果的な習得に有効であり、安全かつ正確な抗がん剤の混合調製業務の実施に役立つものと期待される。
|