NK1受容体を標的とした新規潰瘍性大腸炎治療薬の検討
Project/Area Number |
25929021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
薬学Ⅳ
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
安永 大輝 愛媛大学, 医学部附属病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / NK-1受容体拮抗薬 / 好酸球 |
Research Abstract |
【研究目的】 神経ペプチドであるタキキニンの一つであるサブスタンスP (SP)は、主にニューロキニン1 (NK1)受容体を介する痛覚伝達物質として知られており、その局在や機能から多様の病態に関与すると考えられている。近年、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)で大腸炎を惹起させたラットにおいてNK1受容体拮抗薬が抗炎症作用を示すことが報告された。また、潰瘍性大腸炎(UC)において粘膜組織に活性化好酸球が浸潤することで、粘膜障害が起こることや、SPとNK1受容体がUC患者の好酸球増加に関与することが明らかとなっている。しかし、NK1受容体拮抗薬のUC治療薬としての効果は詳細には検討されていない。そこで我々は、既にがん化学療法に用いる制吐剤として上市されているNK1受容体拮抗薬であるアプレピタントに着目し、その腸炎抑制効果を検討した。 【方法】 DSS大腸炎は雄性5週齢のICRマウスに5%DSSを7日間自由飲水させることで作製した。アプレピタント(1,3,10mg/kg)はDSS飲水開始時より1日1回腹腔内投与した。DSS飲水開始日から毎日、下痢・血便をスコア化し、投与後7日目に大腸を摘出し、腸の長さを測定した。さらに、組織染色により組織像の評価、好酸球数のカウントを行った。 【研究成果】 DSS投与後7日目の体重減少は、アプレピタント投与により有意に抑制された。さらに、DSSの投与により誘発された下痢・血便スコアの上昇および大腸短縮は、アプレピタント投与により用量依存的に有意に抑制され、DSS腸炎の発症にNK1受容体が関与していることが示唆された。さらに、アプレピタント投与により、DSS腸炎における腸粘膜層の傷害が抑制され、好酸球の浸潤が有意に抑制された。従って、アプレピタントは潰瘍性大腸炎治療薬となる可能性が示唆され、その腸炎抑制作用には好酸球を介するメカニズムが関与している可能性が考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
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