Research Abstract |
【目的】 オキサリプラチン誘発末梢神経障害に対するアセトアミノフェンの効果について薬理学的研究を行った。 【方法】 動物モデルは、江頭らの報告より7週齢のWistar系雄性ラットにオキサリプラチン4mg/kg/mLを1週間に2回、4週間腹腔内投与(i.p.)して作成した(1,2,8,9,15,16,22,23日)。アセトアミノフェンは50mg/kg, 100mg/kg, 300mg/kg (kg/10mL, i.p.)の3群に分けて対照群(PBS)を含む4群で治療効果を検討した。急性末梢神経障害(冷感刺激)に対する評価はアセトン試験(0,3,10,17日)、慢性末梢神経障害(機械的アロディニア)に対する評価はvon Frey試験(0,4,11,18日)を用いた。なお、これらの評価試験はアセトアミノフェン投与30分後に実施した。 【結果・考察】 実験開始3日目のアセトン試験の結果より、急性末梢神経障害(冷感刺激)が認められ、10日目、17日目も発現が認められた。一方、アセトアミノフェン300mg/kgの投与群においては、急性末梢神経障害(冷感刺激)の減少がみられた。von Frey試験の結果より、実験開始11日目より慢性末梢神経障害(機械的アロディニア)が認められたが、いずれのアセトアミノフェン投与群においても慢性末梢神経障害(機械的アロディニア)に対する影響はみられなかった。本結果より、アセトアミノフェンの投与によってオキサリプラチン誘発急性末梢神経障害を軽減させる可能性が示唆された。今後は、オキサリプラチン誘発末梢神経障害に対するアセトアミノフェンの作用機序を明らかにする 目的でカンナビノイド受容体拮抗剤やTRP受容体拮抗剤を用いて検討することを計画している。
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