Research Abstract |
【目的】生命維持管理装置の操作および保守点検を行う臨床工学技士の養成において、無尿となる腎不全患者の治療である「血液透析」療法を理解するために、健常な腎機能を実体験させる簡便、迅速な「尿検査」方法について構築を試みた。 【方法】透析患者にとって尿毒素となる尿素の定量として、酵素発色反応のウレアーゼーインドフェノール法を改変し、尿検体と3種の反応溶液を添加するマイクロプレートを用いた比色法を考案した。 測定手順は、希釈した尿検体、もしくは検量線作成のための尿素標準液20μLを、マイクロプレートウェルに添加し、その後、液滴50μLのポリ製ドロッパーボトルの3種の反応液((1)ウレアーゼ液、(2)フェノール液(ニトロプルシドナトリウム含有)、(3)次亜塩素酸ナトリウム液(水酸化ナトリウム含有)を順次添加混合し、5分間加温(60℃)するだけである。反応最終生成物の青色インドフェノールの570nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定し、表計算ソフトに吸光度の生データを入力するだけで検量線から濃度計算され比色定量できるシステムを構成した。 【成果】吸光度は、尿素標準液0~1,000 (mg/dL)において濃度直線性が得られ、濃縮尿も50(~100)倍に希釈することで着色の影響も回避できる検量線の濃度範囲となった。同一被験者の日中の随時尿では、着色の度合いが異なる希釈尿と濃縮尿の尿素濃度の差異も測定できた。 なお、本法は、マイクロプレートリーダーが無い場合でも、尿素標準液の濃度による発色青色の色調と尿検体の発色とを目視で比色、半定量も可能であった。また、反応液のウレアーゼ液を凍結乾燥することで、数か月の保存ができた。 以上基礎医学用の実習教材として、尿素センサの酵素発色反応系が構築でき、マイクロプレートを用いた簡便、迅速な尿素自己測定が可能となった。 *査読付論文(投稿中2件、投稿予定1件)
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