Project/Area Number |
25930010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
基礎医学
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大神 和子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 技術職員
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | スパイン / 神経可塑性 / 老化 |
Research Abstract |
本研究では(1) N-Shc遺伝子欠損マウスの脳の海馬ニューロンのスパイン形態を老若マウスで比較した。また、(2) N-ShcとRICS/GRITダブル欠損マウスでのスパイン形態を比較観察することをめざした。しかし、実質的には(1)の研究のみしか実施できなかった。教室で維持しているN-Shc遺伝子欠損マウス(雄、3ヶ月齢と24ヶ月齢)の脳海馬スライスに遺伝子銃によりDil染色を施し、錐体細胞の二次樹状突起の形態を顕微鏡下で比較観察した。若齢動物に比べ老齢動物でのスパイン密度は顕著に低下していた。対象とした野生マウス(C57BL/6J)でもスパイン密度は老齢で低下していた。しかし、老齢の野生マウスとN-Shc欠損マウスの間ではスパイン密度に有意差はなかった。以前の実験から、2~3ヶ月齢の若齢マウスでは明らかにN-Shc欠損マウスは野生型に比してスパイン密度は高い。しかし、老化するとその違いは明瞭ではなくなった。N-Shcの発現レベルは野生株の老若動物でほとんど違いがなかった。若齢のN-Shc欠損マウスは海馬依存性の記憶学習能がすぐれ、電気生理学的にも海馬シナプスでの可塑性が亢進している。一方、培養神経細胞にN-Shcを強制発現すると、ニューロンの樹状突起は見かけ上退縮する。したがって、N-Shcはスパイン形態/密度と逆相関する。今回の実験結果では老化動物ではN-Shcの有無にかかわらずスパイン密度には違いがほとんど観察されなかった。このことは老化動物ではN-Shc機能が極度に低下していることを意味するものと思われる。N-Shcの発現そのものは老化の影響を受けていないので、N-Shcシグナルの周辺分子で老化の影響を強く受けるものが存在する可能性を示唆している。今後は、それを特定することが、老化脳の理解につながると考えられる。
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