Project/Area Number |
25931006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
臨床医学
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
石嶺 南生 信州大学, 医学部附属病院, 臨床検査技師
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2013: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 間質性肺炎 / シアリダーゼ / 補体 |
Research Abstract |
間質性肺炎は、肺胞隔壁、小葉間間質および胸膜近傍を炎症の場とする疾患である。間質性肺炎の6割を原因不明の特発性間質性肺炎が占める。特に、まだらな線維化が特徴である特発性肺線維症は緩徐に進行する予後不良の疾患であり、病因の解明が望まれる。バイオマーカーとしてはKL-6が用いられているが、疾患特異性が低く、今後さらに特異性の高いマーカーの開発が必要である。信州大学医学部附属病院臨床検査部では、特発性肺線維症について病理学的研究を行ってきた。これらの研究および関連する研究により、特発性肺線維症の発症初期に、微生物やマクロファージなどに由来するシアリダーゼにより細胞表面の糖鎖構造の変化が生じることで抗原性を持ち、そこにマクロファージなどの免疫細胞及び補体系が作用して細胞が傷害されることが一因と成りうると仮説を立てた。これに基づき、一昨年度より、細胞生物学的解析と臨床化学的解析を主なテーマに掲げ、研究を進めてきた。細胞生物学的解析ではシアル酸を豊富に有するモデル細胞株(CHO-K1細胞)及びII型肺胞上皮細胞株(A549細胞)にシアリダーゼと補体が作用することで細胞傷害が生じること、この細胞障害はシアリダーゼ阻害剤を添加することで抑制されること、シアル酸を持たない細胞株(Lec2細胞)では細胞障害は生じないことを確認した。昨年度までの実験結果を踏まえ、今年度は①ヒトシアリダーゼと補体の細胞への影響、②リアルタイムな細胞傷害の観察を行った。①に関して、確立したNeu1発現系で産生されたシアリダーゼを電気泳動法及び活性測定を行ったところ、低活性及び不安定であり、これまでの実験結果を再現することが困難であった。今後トランスフェクションの条件等を検討していく必要がある。②はすでに確立していた培養条件、反応液条件が本検討には不適であることが判明したため、今後の課題とした。前年度までの実験により、シアリダーゼと補体が共存した時に細胞傷害が誘導されたことより、補体経路の活性化が細胞傷害誘導の一つのトリガーではないかと考え、補体経路の中でもC1q蛋白に着目した。ニューロン細胞表面のシアル酸がC1q蛋白の結合を阻害するという研究報告があり、肺胞上皮細胞でも同様の現象が観察されるのではないかと考え、現在C1q蛋白及びC1q蛋白を除去した血清を用いて細胞傷害が観察されるか、また細胞傷害がアポトーシスによるものであるかを確認中である。
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