Research Abstract |
【研究目的】 膝蓋大腿関節症・膝前部痛の原因として, 内側広筋(VM)の筋活動低下が挙げられ, VM優位の筋力強化がなされるべきである. 非荷重下の運動(OKC)では, 膝関節の肢位、股関節内転筋の共同収縮の付加などで, VMが優先的に活動するという報告が見られる. 今回は, CKC運動種目で, VMと外側広筋(VL)の筋活動比を分析し, 内側広筋を優先的に活動させる運動を検討する. 【研究方法】 健常女性15名を対象とし, 表面筋電図で各運動時の筋活動を測定した. 測定筋は, VM, VL, 大内転筋(AM)の3筋とした. 皮膚を剃毛後, 研磨剤を用いて表面を薄く削り, アルコールにて拭き取った. 皮膚抵抗を5kΩ以下とした後, 銀-塩化銀の表面電極を電極間距離約2.5cmで貼付した. 運動種目は, ランジ運動3種類(膝関節中間位, 内旋位, 外旋位)とランジ運動に股関節内転を共同収縮させた運動の全部で4種類とした. 運動の肢位は, 膝関節が屈曲80°、股関節が内外転中間位とし, 体幹は直立するように指導した. 負荷量の統一のために, 荷重を体重の80%とし、ランジの距離を身長の3/5とした。正規化のために, 端座位膝関節屈曲60°位でVMとVLの, 股関節中間位でAMの最大等尺性収縮を測定した. 各運動は, 5秒間測定し, データ解析は、その中3秒間を解析した. VMの優先的活動の指標として, VM/VL比を求めた. 運動種目間で, TukeyのHSD法で多重比較した. 有意水準を0.05未満とした. 【研究成果】 各運動間での, VM/VL比に有意な差はなかった。正規化したVMの活動量も差はなかったが, 全ての運動で75%以上は得られた. AMの活動量は, 股関節の内転筋の共同収収縮を付加した運動のみ有意に高かった. 今回の結果から, CKC運動は, 筋活動が75%以上であるので, 筋力増強運動としては、有効と思われるが, VMを優先的に活動させるという意味では, 適していないことが示唆された.
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