Research Abstract |
2011年3月に東北地方において、東北地方太平洋沖地震が発生したことに付随して, 歯科医療の身元判明のための重要性が再認識されることとなった. 天然歯が残っている人に対しては, カルテと照らし合わせて判断することができるが, 義歯を装着している人に対しては, 義歯を見ることでその人を判別する. その際, 義歯に何かしらの個人を判別するものがあればその作業は非常に簡便なものとなるのは明らかである. これまでも義歯に外部から彫刻する方法は考えられてきたが, それ自体が傷となり, プラークや汚れが沈着する原因となる. そこで, 物体の内部に彫刻することができるマイクロレーザー彫刻技術を義歯に応用する方法を考案, 試行した. 今回の研究では, 予算的にレーザー加工機・彫刻器を購入することができなかったため, 一般企業に彫刻を依頼した. 一般にレーザー彫刻は空気と水以外の素材であれば大抵のものに加工が可能であるため, アクリル製の義歯には問題はなかった, ただ, 平面に対しての加工が一般的であるため, 義歯の曲面に加工ができるかという問題はあったが, 最終的に問題なく加工が行えた. 加工できるデザインとして, 写真がどこまで再現できるかという疑問はあったが, Adobe Photoshopによってイラスト状に編集することで, 充分に判別可能なものが得られた. この技術は義歯製作途中ではなく, できたものに後から施行することができる技術である. デザインやPCでの処理の時間を省いた加工時間は実質2~3分程度であり, 困難な作業も必要としない. また, 企業に依頼するにしてもおおよそ1,000~2,000円で加工が可能である. よって, マイクロレーザー技術は情報書き込み法として充分応用可能であることが示唆された.
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