Project/Area Number |
26707010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Allocation Type | Partial Multi-year Fund |
Research Field |
Particle/Nuclear/Cosmic ray/Astro physics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 真平 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教 (40451835)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Project Status |
Adopted (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥15,990,000 (Direct Cost: ¥12,300,000、Indirect Cost: ¥3,690,000)
Fiscal Year 2015: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2014: ¥14,040,000 (Direct Cost: ¥10,800,000、Indirect Cost: ¥3,240,000)
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Keywords | 素粒子実験 / カロリメータ / 超対称性 / 高速・高密度伝送技術 / ハドロンコライダー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度はLHC加速器の運転はなく、アップグレード用の電磁カロリメータ読み出しバックエンド・エレクトロニクスの設計開発およびテストボード製作、また翌年度のLHC運転再開を見据えてデータ収集・処理の準備や電弱ゲージーノ探索の探索感度向上のための準備研究に注力した。
読み出しエレクトロニクス開発においてはAvago社製組込み光トランシーバ・モジュールおよびFPGA GTX高速シリアル・トランシーバを実装するテストボード設計・製作し、要求される高速・高密度データ送受信が可能であるかの動作検証、またエネルギー再構成アルゴリズムのファームウェア実装・性能検証を行った。レーンあたり10Gbps以上の高速伝送および安定した多レーン同時動作を確認し、主要な研究開発項目の一つを完了させた。さらにフィルター処理によるパイルアップ信号に対する補正とエネルギー再構成を行うファームウェア実装については、疑似信号を用いた動作検証によって実験で要求される125ns以下のレイテンシでの動作を確認した。実機製作・導入時にはさらなる多チャンネル対応が求められる。スケーラビリティの検証も行い、リソース使用量の点でも実用に問題ないことを示した。
超対称性探索、特に短飛跡識別による荷電ゲージーノ生成過程の探索の研究においては、その飛跡検出効率の改善が探索感度改善のために最も重要な項目である。有力な超対称性シナリオの一つであるAMSBモデルでは最も軽い荷電ゲージーノが0.2ns程度(cτ=60mm)の寿命をもつ。これまでの解析では飛跡半径300mm以上の信号しか再構成できなかったため、その検出効率の低さにより探索感度が制限されていた。しかし新たに導入される最内ピクセル層を活用し、飛跡半径130mmまで検出可能な飛跡再構成法を開発した。これにより信号検出効率を従来からおよそ20倍改善し、また新たな解析手法も開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しいカロリメータ読み出しシステム導入へむけての鍵となる点は、膨大なセグメント数の信号を40MHzで受信、さらにその逐次処理を可能にする高速・高密度データ送受信技術と信号処理アルゴリズムの確立である。研究実績の概要で述べたように高密度光送受信モジュールを用いたテストボードを開発製作し、必要とされるチャネル密度・帯域での動作が可能であることを検証した。 また短飛跡識別よる電弱ゲージーノ探索の準備研究として、ピクセル検出器のみを用いた飛跡再構成の研究を行った。信号検出効率を大幅に改善できる反面、深刻な運動量分解能の劣化によるバックグラウンド事象増加という問題があったが、最終的には新しい解析手法を導入することによって当初期待したものと同程度の高い感度で探索検証が可能であることを確認した。 以上、予定していた原理・動作検証を完了した点を考慮して"おおむね順調に進展している"とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の全体計画に大きな変更はなく、当初の予定通り研究を推進していく。 読み出しエレクトロニクスの開発においては、実機導入に向けた多チャンネル対応・高密度実装に取り組む。複数の光トランシーバおよびArria10 FPGAを導入してAMC規格の基板設計・プロトタイプ製作を行い、動作検証を行う。熱分散を高める等、導入時に問題となり得る点についても考慮する。またビーム衝突環境下でのカロリメータ実信号波形データを記録・解析を行い、信号処理アルゴリズムのさらなる最適化にも取り組む。
平成27年度はLHCがほぼ予定通り運転を再開する。電弱ゲージーノ探索においては、これまでのシミュレーションを用いた研究成果をもとに、収集したデータの解析に注力する。特に新しい最内ピクセル層の導入された内部飛跡検出器における飛跡検出性能の理解は探索遂行において重要となる。さらにミューオン粒子の飛跡を用いて荷電ゲージーノの短飛跡偽信号を生成し、開発した飛跡再構成法の最適化・性能検証等についても初期の13TeV衝突データを用いて遂行する。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アルテラ社のArria10 FPGAの評価ボードを用いて基本動作を検証した後に、カロリメータ読み出しエレクトロニクスのプロトタイプAMCの基板設計・製作を行う。
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