Outline of Annual Research Achievements |
学習指導要領では, 数学的活動や算数的活動(今後, 数学的活動と表記する)が重視され, その中で, 日常生活に数学を利用する活動などが規定されている。この背景として, 一つ目には, 数学は日常生活には役に立たないという意識が強いなど, 現実的な場面と数学との関連性についての生徒の信念の弱さが従前から指摘されていること, 二つ目には, PISA調査の結果が学校教育以外の場でも話題になり, また, 全国学力・学習状況調査や教育課程実施状況調査などにおいても, いわゆるPISA型とよばれる具体的な場面を用いた問題が使われ重要視されていることがある。このような背景と共に, 平成20年1月の中教審答申の中で「算数的活動・数学的活動は知識・技能を身につけるとともに, 思考力・表現力を高めたり, 学ぶことの楽しさや意義を実感したりするために重要な役割を果たす」旨が述べられており, 今後は「数学的活動を活かした指導を一層充実し, また, 言語活動や体験活動を重視した指導」を行うための更なる実践的研究が必要である。 しかし, 現在の学校教育の中で, 数学的活動は知識や技能を教えることと比較してまだまだ質量とも充分に行われているとは言い難い現状がある。また, その傾向は小中高と学年があがるにつれ顕著である。その中で数学的活動を更に充実させていくためには, 主に教材開発と評価の研究が必要となる。 本研究においては, 現実の問題を解決する, ために用いられる数学的モデリング活動の実践場面においての評価, とりわけ観点別学習状況の4観点の評価を客観的に実施するために必要となる教材の開発, 評価問題や評価手法の整備, 解決過程における評価の段階などの整理を行った。
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