Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 : 病院-薬局薬剤師の真の連携を実現するために、病院薬剤師による入院患者の服薬アドヒアランス評価および患者指導データを薬局薬剤師と共有し、患者の外来診療での服薬アドヒアランス総合評価を各種病態・検査値の変化と共に経時的に観察する。さらに、如何なる患者の特性が服薬アドヒアランスの維持に影響を与えるかを薬局薬剤師からの情報をもとに明らかにする。 ○研究方法 : 対象は岡山大学病院循環器内科病棟に入院歴のある冠動脈疾患、心不全の慢性疾患患者とし、以下の調査を行った。1, 入院患者のこれまでの服薬(服薬アドヒアランスを含む)に関する自己評価、2, 病院薬剤師による服薬評価、3, 薬局薬剤師による服薬評価、4, 外来での病識・薬識の経時的変化調査、である。薬剤師は、患者の入院・外来通院中における病識・薬識・内服コンプライアンスを各5段階で評価を行った。また薬局薬剤師は、処方薬の残数チェックにより、服薬アドヒアランスの厳守度を経時的に評価した。また、心血管リスク因子として脂質検査値(LDL、HDL、TG)、血糖検査値(HbA1C(NSGP)、IRI)や腎機能検査値(Cr、UA、K)を経時的に調査した。さらに、患者の疾病再発率と患者の特性との相関を検討した。 ○研究成果 : 計10例の患者情報を収集・解析した。病院および薬局薬剤師間で病識・薬識・内服コンプライアンス評価が一致する場合がほとんどであったが、一部、評価が異なる場合もみられた。アドヒアランスに問題のある患者が抽出され、より効果的な指導や処方提案につなげていくことが可能であることが明らかとなった。また病院との患者情報共有により、適切に患者服薬指導を実施することができたと薬局薬剤師からの高い評価を受けた。今後、研究を継続し、外来患者の薬物治療管理・検査値変化・予後改善について調査を重ねていく。
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