Project/Area Number |
26931011
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
臨床医学
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江口 聡 東京大学, 医学部附属病院, 医療技術職員
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2014)
|
Budget Amount *help |
¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2014: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
|
Keywords | メタ認知トレーニング / 心理教育・心理介入 / 統合失調症 |
Outline of Annual Research Achievements |
メタ認知トレーニング(以下MCT)は、Moritzらにより開発された認知行動療法を基礎とする心理教育・心理介入技法である。MCTは統合失調症によく見られる認知的エラーや問題解決のバイアスに焦点を当てた8つのモジュールから構成されている。その有効性については、Moritzらの研究で示されている。 H26年度は東京大学医学部附属病院精神神経科に通院中の22名の統合失調症患者に対して、MCTを実施した。各セッション後に被験者の感想を聴取し、KJ法を用いて感想の分類を行った。また、実施前および実施後に社会機能、精神症状、メタ認知、自己意識に関する自己記入・他者記入の質問紙を行い、統計的解析を行った。被験者の感想については、「認知バイアス理解因子」、「自己洞察因子」、「対処因子」に分類された。MCT施行前後の結果については、他者記入式のGAF、PANSS陽性症状、PANSS総合精神病理、PANSS陽性尺度(5 factor model)、PANSS陰性尺度(5 factor model)、PANSS core delusion scoreにおいて有意な改善が認められた。また、自己記入式では自尊心において有意な改善が認められた。 本研究は、先行研究と同様に陽性症状への効果が確認された。一方で、Moritz et al. (2014)の報告で示された3年後の自尊心の改善が、MCT直後の結果として確認された。同時に、陰性症状の改善もMCT直後で確認されている。感想の分析から、対象者に「認知バイアス理解-自己洞察-対処」の意識があることが考えられる。また、自尊心の改善から、自発的に社会に働きかけることが陰性症状の改善につながり、従来MCTの報告で示された陽性症状の改善と並行して見られた可能性が考えられる。本研究で得られた知見は臨床群のみの介入研究であるため、今後は対照群を設定し、その効果について検討する必要があると考える。 結果の詳細については、第10回日本統合失調症学会にて発表を行った。
|