生徒が科学的概念の理解に到る認識メカニズムの研究(多変量解析法による解析)
Project/Area Number |
61580248
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
科学教育(含教育工学)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
丹治 一義 静大, 教育学部, 教授 (30021877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
碇 寛 静岡大学, 教育学部, 助手 (00135229)
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Project Period (FY) |
1986
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 科学的概念 / 認識過程 / 多変量解析 / 力学教材 / 生活体験 |
Research Abstract |
生徒の科学的概念の理解に到る認識メカニズムを明確にするために、学習過程における理解困難な分野、概念を抽出し、その要因を多変量解析により分析した。調査対象者は、小中学校教師約420名,小中高生徒、1800名である。その結果、教師側及び学習者側が一致して、もっとも学習困難な分野として挙げたのは、中学校の力学教材であった。そこで、力学教材の学習困難な要因を明確にするために、生徒の学習状況をより分析的に捉えていると思われる中学校教師側から見た学習者の力学教材におけるつまづきやすさの原因を因子分析法により分析した。その結果、以下の要因が抽出された。第1因子:エネルギー、仕事といった抽象度の高い新概念、第2因子:論理的思考方法、モデル化等の力学教材固有の特徴、第3因子:速度、加速度といった動的感念の概念、等々の因子が抽出された。これらの主要因子をもとに、力学教材の理解困難な要因項目を洗い出し、数量化理論第【II】類により、その中でももっとも障害となっている問題点を明確化することを試みた。これらは力学教材を学んでまもない中学校3年生を対象にして調査した。その結果、力学教材に特有な数学的取り扱いといった操作上の問題とは異なり、力学教材の基本概念、及び論理構成そのものが学習の障害となっていることがわかった。まとめると、直接的に測定した物理量を、間接的な物理量に変換して、抽象的な量のまま議論を重ね、視覚的に認識し難い結論を引き出すといった思考方法が力学教材を理解困難にしている最大の要因であることが判明した。こうした論理の展開方法は我々の一般的な生活体験とは著しくかけ離れたものと思われ、学習者の考え方そのものを根底から変革することを要求するものと考えられる。こうした全く未体験の思考方法を我々の生活体験にまで高め、体得させる方策が今後の理科指導方法における一つの重要な課題となるであろう。
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Report
(1 results)
Research Products
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