Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻本 元 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60163804)
尚立 昭夫 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (90127043)
池田 秀利 愛知県がんセンター, 研究所・第二病理, 室長 (60101119)
丹羽 太貫 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助教授 (80093293)
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Budget Amount *help |
¥9,600,000 (Direct Cost: ¥9,600,000)
Fiscal Year 1987: ¥9,600,000 (Direct Cost: ¥9,600,000)
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Research Abstract |
本年度の研究の流れは, HIVやHTLVー1におけるトランスアクチベーションの研究の影響を受け, 白血病ウイルス遺伝子発現の活性化, それと表裏の関係にある潜在化の問題にあった. 他の研究もこれから派生した問題と考えられる. まず, (1)HIVでは, その発現の活性化がHIVーtatに限らずDNA腫瘍ウイルスの遺伝子の導入でも起こる事が解明され, ウイルス側の活性に関与する部位はLTR内のエンハンサーにあり, 又, 活性化は転写後である事をつきとめた. 一方, MLVの様な特別な活性化遺伝子を持たないウイルスでもトランスアクチベーションに似た現象の存在を示唆する知見を得た. (2)レトロウイルス遺伝子の活性化により転写産物が増加する. HTLVー1の持続感染HL60細胞において, 転写の活性化に引き続き染色体外DNAコピーが増加し, 更に新たな染色体内コピーの増加が起こる事を証明した. レトロポゾンの増幅機構のモデルとして, 良い実験系と考えられる. (3)モロニーMLVをテラトカルシノーマ細胞に感染させると, 内在化が起こる. これは, 活性化と逆の現象であり, 活性化現象とあいまって白血病ウイルス遺伝子発現の制御上重要である. 内在化にはDNAのメチル化が関与する事が知られていたが, 加えて, レプレッサー様分子が関与するらしい事が分かって来た. モロニーMLVのエンハンサー, 及びプロモーターDNA断片を用い, テラトカルシノーマ細胞の核蛋白によるゲルリターデーショシアッセイを行った処, プロモーター断片では分化有無に関わらず同様な複合体を作るのに, エンハンサー断片を用いると分化に依存した異なる複合体形成が見られた. LTRからの転写を抑制する様な制御機構の存在が示唆された. (4)以上の他, 内在化したMLVのエンベロープ遺伝子と考えられる, Fvー4に関し, この遺伝子を持つMLVの作製, 野生マウスにおける遺伝子の多様性につき研究が進行している.
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