Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 正美 藤田学園保健衛生大学, 医学部, 教授 (20084519)
難波 紘二 広島大学, 総合科学部, 教授 (80156009)
本庶 佑 京都大学, 医学部, 教授 (80090504)
畑中 正一 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (30142300)
内野 治人 京都大学, 医学部, 教授 (40034615)
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Budget Amount *help |
¥7,200,000 (Direct Cost: ¥7,200,000)
Fiscal Year 1987: ¥7,200,000 (Direct Cost: ¥7,200,000)
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Research Abstract |
多数例のリンパ系腫瘍につき免疫表現型と免疫遺伝子型の対比検討から,成熟型腫瘍では両者の良好な相関が認められ,T・B細胞系統性及びクローン性の確実な指標として,遺伝子型によるDNA診断の有用性が確立された. しかし未熟型腫瘍では表現型と遺伝子型との間に必ずしも一致をみず,二重遺伝子型を示す例があり,腫瘍隨判異常再構成ないし不確定な細胞分化様式の可能性につき検討した. これらの過程で,TーALL症例で,本来7番染色体にあるTcRβ鎖遺伝子の一部(Cβ1領域)が染色体転座なしに6番染色体へ異所転入し,その転入機序が遺伝子再構成過程で仂くcommon recombinaseによることを確認した. またリンパ系腫瘍の分化段階で比較的未熟なTリンパ芽球性リンパ腫から骨髄球系白血病に移行した症例で,これら腫瘍細胞が単一細胞起源に由来することを分子生物学的に証明した. また本邦では欧米に比べ炉胞性リンパ腫は少ないが,本症に特異的とされるbclー2遺伝子(probe B)再構成の頻度が欧米に比べ低率であることが判明した. さらにB細胞分化過程を明らかにするためILー3依存性proーb細胞株の分化誘導系を確立し,B細胞分化には液性因子以外に樹状細胞,T細胞cluster或は骨髄stroma細胞が必須であることが判明した. その他,血管免疫芽球性リンパ節症(AILD)がリンパ節内T細胞を中心とした異常免疫状態に起因するlymphodysplastic syndrome(LDS)と呼ぶべき特異な病態であることを高精度免疫組織染色法の開発により確認し,また本症の多くがT細胞腫瘍である可能性を免疫遺伝子型解析から明らかにすると共に,多彩な組織変化発現の一因として細胞産生因子遺伝子例えばILー5遺伝子転写の増強をdot hybridizationにて証明した. 今後さらに未熟型腫瘍での表現型-遺伝子型不一致発現の機序につき,不確定な細胞分化様式ないし腫瘍化との関連で検討を進め,またNorthern blott法やin situ hybridization法などによりリンパ系腫瘍の免疫異常状態を遺伝子levelで解明したい.
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